エスペラントとは
エスペラントを話す人は何人?推定値と出典の一覧
エスペラントについて尋ねる国勢調査は一部の国にしかないので、世界全体の数字はすべて推定です。本当の答えは「話者」の定義しだいです。
正確な人数は誰にもわかりません。エスペラントを実際に使える人についての信頼できる推定は、約6万人(スヴェン・ヴェンデルボ・ニールセン、2017年。誤差の幅はおよそ3万〜18万人)から、約200万人(シドニー・カルバートの調査。『ワールド・アルマナック』と『エスノローグ』が採用)までの幅があります。母語話者は約1,000〜2,000人です。さらに数百万人が講座を始めており、Duolingoだけで2020年3月までに280万人の学習者を数えました。
エスペラントには自分の国がないので、話者をまとめて数えた国勢調査はありません。以下の数字は、調査、いくつかの国の国勢調査、会員名簿、オンラインのプラットフォームから来ていて、それぞれ違うものを測っています。
推定値の一覧
| 推定 | 出典 | 年 | 方法 | 数えているもの |
|---|---|---|---|---|
| 100万〜200万人(200万に丸める) | シドニー・S・カルバート、ワシントン大学 | 1958年から調査。200万は1988年から | 数十か国での標本調査と地域の人数調査 | 「実務レベル」の能力を持つ人 |
| 2,000,000 | 『エスノローグ』第16〜18版 | 2009〜2015年(1999年の資料を引用) | 二次的な数字。丸めたカルバートの数と同じ | 第二言語の使用者 |
| 1,000 / 10,000 / 100,000 / 100万 | ヨウコ・リンドステット、ヘルシンキ大学 | 1996 | 専門家による桁の目安 | 母語 / 流暢 / 活発 / 受け身の知識 |
| 100,000(約3万〜30万) | ヨウコ・リンドステット、『SKY Journal of Linguistics』 | 2006 | 誤差の幅を明記した専門家の推定 | 本当にエスペラントを話せる人 |
| 組織の会員は約20,000。数百万人には懐疑的 | ジコ・ファン・ダイク(マルクス・シコゼク)、『Esperanto sen mitoj』 | 2003 | 地域の人数調査を各国の主張と比較 | 高い推定への批判 |
| 約200万人 | アムリ・ワンデル、エルサレム・ヘブライ大学 | 2015(データは2014年) | Facebook利用者32万人を、前提を示して拡大 | 何らかの知識があり、インターネットを使う人 |
| 63,000(約3万〜18万) | スヴェン・ヴェンデルボ・ニールセン | 2017 | 4か国の国勢調査データを、会員数とウェブサイトのデータと比較 | 国勢調査で「はい」と答える人 |
| 母語話者1,000人 | 『エスノローグ』第25版 | 2022 | コルセッティ他(2004年)を引用 | 第一言語の使用者 |
| 約1,000家庭で約2,000人の子ども | コルセッティ、ピント、トロメオが引用した協会の数字 | 2004 | エスペラントを話す家庭のネットワークでの集計 | エスペラントで育てられた子ども |
| 講座開始者280万人 | Duolingo(Libera Folio が報じたデータ) | 2020年3月 | 講座登録数 | 学習者であって、話者ではない |
最低と最高の数字は約30倍も開いています。その大部分は、数え間違いではなく、「話者」の定義の違いから来ています。
なぜ正確な数字がないの?
理由は3つあります。第一に、エスペラントは誰の国語でもなく、国勢調査でエスペラントを尋ねるところはほとんどありません。第二に、話者は120か国以上に薄く散らばり、1つの都市に数人ということもよくあります。第三に、「エスペラントを話す」とは、アプリの講座を終えた程度から、毎日この言語で暮らしている状態まで、あらゆる意味になりうるからです。
ハンガリーは、この問題を示す例外です。2011年の国勢調査では、エスペラントを知っていると答えた人が8,397人いました。ハンガリーの大学では国家語学試験が求められ、エスペラントがそれに数えられたため、人気の試験言語のひとつになり、2000年代には数万人がエスペラントの試験を受けました。その多くは資格のために学んだ人で、ほとんど使っていません。
「200万人」はどこから来た数字?
200万という数字は、ワシントン大学の心理学教授シドニー・S・カルバートにさかのぼります。彼は何十年ものあいだ、『ワールド・アルマナック』のために、主要な言語すべての話者数を推定していました。エスペラントはほとんどデータがなかったので、自分で調査を行いました。
1989年の手紙で、彼は方法を説明しています。最初の調査は1958〜59年のフランスで、98ある県から14県を無作為に選びました。それぞれの県で活動的なエスペランティストに聞き取りをしたうえ、自分の足ですべての話者を探そうとしました。すると、地元の活動家が把握している人数の約2倍が、たいてい見つかりました。スイス、オーストリア、イタリアなどでも似た調査を繰り返し、その結果をほかの国に当てはめました。
カルバートが数えたのは「実務レベル」の人だけでした。やや複雑な話題を論じ、演説やラジオを理解できる人です。1956年ごろに約100万人と見積もり、200万人に切り上げたのは1988年になってからです。丸める前の結果として、160万人という数字がよく引用されます。
カルバートは限界について率直でした。真の数は100万人を超えないかもしれないし、すでに200万人を超えているかもしれない、と書いています。国別のデータは公表しなかったので、誰も検証できません。のちに『エスノローグ』は、同じ200万人を第二言語の使用者として載せました。
インターネットを使った推定では?
2015年にエルサレム・ヘブライ大学のアムリ・ワンデルが、Facebookに基づく推定を発表しました。2014年末の時点で、約32万人のFacebook利用者が、話せる言語にエスペラントを挙げていました。
ワンデルはそこに、はっきりした前提を当てはめました。世界の約10%がFacebookを使っている、申告の半分だけが信頼できる、実際の話者のうち言語を載せているのは3分の1だけ、世界の約40%がオンラインにいる、というものです。結果は、インターネット利用者だけで約192万人のエスペラント使用者でした。
この手法の弱点は、論文自身が示しています。約25万人のFacebook利用者がクリンゴン語を話せると名乗っており、これは話者ではなく、『スタートレック』のファンを測ったものと考えられます。
低い推定は何を言っている?
2017年に、当時博士課程の学生だったスヴェン・ヴェンデルボ・ニールセンが、エスペラントを尋ねるわずかな国勢調査と、会員数やウェブサイトのデータを組み合わせました。国勢調査の話者数は、エストニア209人、リトアニア604人、ニュージーランド123人、ロシア992人でした。ハンガリーは、学校制度に左右された数字の動きが違うため、除外しました。
ニールセンは、それらの国勢調査の数を、エスペラント協会の地域別会員数やエスペラントのウェブサイトでの活動と比べ、世界に外挿しました。中心となる推定は約63,000人で、誤差の幅は非常に広く、その数の半分から3倍、約3万〜18万人です。統計学者のステン・ヨハンソンは国勢調査データの信頼性に疑問を呈し、ニールセンも誤差が大きいことを認めました。
それより前に、ジコ・ファン・ダイク(当時はマルクス・シコゼク)は、高い数字を現場で確かめました。100万人の話者が均等に散らばっているなら、ケルンには約180人いるはずですが、流暢な話者は約30人しか見つかりませんでした。世界のエスペラント団体の会員は約20,000人と数え、その50倍もの組織に属さない話者がいるかどうかを疑いました。
オンライン講座は何人の学習者を報告している?
オンライン講座は、それまでのどの時期よりも多くの学習者を連れてきました。これらの数字は、講座を始めた人を数えており、終えた人ではありません。
| プラットフォーム | 数字 | 時期 |
|---|---|---|
| Duolingo、英語話者向け講座 | 開始(ベータ版) | 2015年5月28日 |
| Duolingo、英語講座 | ベータ版終了時に学習者35万人 | 2016年3月 |
| Duolingo、英語講座 | 学習者136万人 | 2018年7月 |
| Duolingo、すべてのエスペラント講座 | 280万人(英語経由160万人、スペイン語経由87万1,000人、ポルトガル語経由37万6,000人) | 2020年3月 |
| lernu!(無料学習サイト、2002年12月21日開設) | 登録利用者10万人 | 2011年5月 |
| lernu! | 登録利用者約15万人 | 2013年(ワンデルの報告) |
Duolingoは学習者の合計数の公表をやめたので、その後ネットで出回っている数字は確かめられません。2020年のDuolingoの総数の1%でも2万8,000人で、2019年の世界エスペラント協会の個人会員の、7倍近くになります。
会員数は何を示している?
会員名簿が示すのは、合計ではなく確かな下限です。世界エスペラント協会(UEA)は、理事会の報告によれば、2023年に130か国で4,700人の個人会員を持ち、各国協会を通じて加入する人まで数えると約1万2,800人でした。個人会員は2015年以降、約4,150人から5,500人のあいだで推移しています(2019年の4,162人が最近では最低)。活動的な話者の多くは、国別協会だけに入っているか、どこにも入っていません。
エスペラント話者が旅行者を無料で泊める宿泊ネットワーク Pasporta Servo は、121か国で2,400人以上のホストを載せています(2026年)。
オンラインでの活動が、2つ目の指標です。エスペラント語版ウィキペディア(Vikipedio)は、2026年10月7日に389,589本の記事があり、ほかのどの人工言語よりずっと多く、イドは約64,600本、インターリングアは約30,900本でした。ほかの計画言語がまったく近づけない理由は、エスペラントとほかの人工言語の比較をご覧ください。
日本には、エスペラントを話す人が何人いる?
日本にも、話者数を数えた統計はありません。手がかりになるのは、組織の会員数です。日本のUEA個人会員は、2023年に209人で、フランス、ドイツ、ブラジル、米国に次ぐ世界5位でした。全国組織の日本エスペラント協会(JEI)の会員は、2020年初めの時点で約1,050人と伝えられています。ただし、これは「組織に入っている人」の数で、協会に入らずに学んだり使ったりする人は含まれません。日本の団体と国別のデータをご覧ください。
母語話者は?
推定は1,000〜2,000人に集まっています。リンドステットは、母語話者を約1,000人としました(1996年、2006年)。コルセッティ、ピント、トロメオが2004年に引用した数字は、約1,000家庭で約2,000人の子ども、『エスノローグ』(2022年)は第一言語の使用者を1,000人としています。こうした家庭がどう生まれるかは、エスペラントの母語話者をご覧ください。
では、正直な答えは?
定義によります。
- 母語話者: 約1,000〜2,000人。
- 流暢な日常の使用者: およそ1万〜2万人(リンドステットの「流暢な1万人」、組織の会員約2万人)。
- 会話ができる人: 最も妥当なのは数万人から十数万人(ニールセンの3万〜18万人、リンドステットの10万人。幅は3万〜30万人)。
- 何らかの知識がある人: 100万〜200万人前後(カルバート、ワンデル)。講座を試した人は、さらに数百万人。
公平な一行のまとめは次のとおりです。エスペラントの話者は、定義により推定6万人から200万人で、そのうち約1,000〜2,000人が母語話者です。 いちばん低い推定でも、最も広く話されている人工言語であることに変わりありません。話者の住む場所はエスペラントを話す国、共同体の成長はエスペラントの歴史をご覧ください。
よくある質問
エスペラントの話者は本当に200万人いるのですか?
何らかの実用的な知識を持つ人まで数えれば、あり得ますが、上限の推定です。カルバートの調査(1988年に200万に丸めた)と、2015年のワンデルのFacebookに基づく計算に由来し、どちらも詳細を確かめられない間接的な方法に基づいています。
流暢に話せる人は何人?
おそらく数万人です。リンドステットは、流暢な話者を約1万人(1996年)、本当に話せる人を約10万人(2006年、幅は3万〜30万人)と見積もり、ニールセンの2017年の統計的な推定6万3,000人も、同じ範囲に入ります。
エスペラントの母語話者は何人?
約1,000〜2,000人です。少なくとも片方の親がエスペラントで話しかけて育ち、多くはエスペラントで出会った夫婦の子で、必ずもうひとつの言語も身につけます。
エスペラントを学んでいる人は何人?
Duolingoは、2020年3月までに280万人がエスペラント講座を始めたと報告しました。数えているのは講座の開始者で、話者ではありません。2016年の初期の推定では、講座を終えた割合は約3%でした。
エスペラントは最も話されている人工言語ですか?
はい。ほかの人工言語には、同じ規模の共同体も、母語話者も、文学も、オンラインでの存在感もありません。最も近いライバルのイドでさえ、話者は多くても数百人から数千人です。
日本のエスペラント話者は何人ですか?
統計はありません。世界エスペラント協会の日本の個人会員は2023年に209人で、世界5位です。日本エスペラント協会の会員は、2020年初めに約1,050人と伝えられています。
出典
- シドニー・S・カルバート、自身の方法についての手紙、1989年10月24日、話者数についてのほかの手紙(デイヴィッド・ウォルフによるアーカイブ)
- アムリ・ワンデル、「How many people speak Esperanto? Or: Esperanto on the Web」、『Interdisciplinary Description of Complex Systems』13(2)、318〜321ページ、2015年
- Libera Folio、「Nova takso: 60.000 parolas Esperanton」(ニールセンの推定)、2017年2月13日
- Libera Folio、「Kie estas la Duolinganoj?」(DuolingoとUEAの数字)、2020年3月31日
- 『エスノローグ』、エスペラントの項、第16版(2009年)
- コルセッティ、ピント、トロメオ、「Regularizing the regular」、『Language Problems & Language Planning』28(3)、2004年
- ヨウコ・リンドステット、「Native Esperanto as a test case for natural language」、『SKY Journal of Linguistics』19、2006年(脚注1)
- Wikipedia、Esperanto – Number of speakers、Jouko Lindstedt
- Vikipedio(エスペラント語版ウィキペディア)、Duolingo、Lernu!(講座の統計)
- ウィキメディア、エスペラント語版ウィキペディアの統計(2026年10月7日取得)
- Wikipedia、Esperanto in Hungary(2011年の国勢調査)、Wikipedia(ハンガリー語)、Eszperantó(語学試験)
- 世界エスペラント協会、Estrara Raporto 2023(会員数)、Vikipedio、Membronombroj de UEA
- Pasporta Servo(ホスト数、2026年)
- 日本語版ウィキペディア、エスペラント、日本エスペラント協会(日本エスペラント協会の会員数)
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