文法
エスペラントの動詞|時制・活用・esti の使い方
語尾は6つ、人称による変化も不規則動詞もなし。動詞の体系は1枚の表に収まります。
エスペラントの動詞には6つの語尾があり、人称や数で変化しません。Mi parolas, vi parolas, ŝi parolas, ili parolas(「私は話す、あなたは話す、彼女は話す、彼らは話す」)。時制ごとに形は1つです。esti(「〜である」)を含め、不規則動詞はひとつもありません。
動詞が人称で変化しない点は、日本語と同じです。日本語の「食べる」が「私は食べる」「彼は食べる」で変わらないのと同じように、parolas は主語が誰でもそのままです。
動詞の6つの語尾
| 語尾 | 名称 | 例 | 訳 |
|---|---|---|---|
| -i | 不定詞 | paroli | 「話す」 |
| -as | 現在 | mi parolas | 「私は話す、話している」 |
| -is | 過去 | mi parolis | 「私は話した、話していた」 |
| -os | 未来 | mi parolos | 「私は話すだろう、これから話す」 |
| -us | 仮定(条件) | mi parolus | 「私なら話すだろう」 |
| -u | 命令・願望 | parolu! | 「話しなさい!」 |
母音には規則性があります。a は現在、i は過去、o は未来です。同じ母音が、分詞の -ant-、-int-、-ont- にも現れます。
日本語の「る・た」との対応
| エスペラント | 日本語 | 備考 |
|---|---|---|
| -i(paroli) | 話す(辞書形) | 辞書に載る形 |
| -as(parolas) | 話す・話している | 現在 |
| -is(parolis) | 話した | 日本語の「た」にあたる |
| -os(parolos) | 話す(未来) | 日本語は現在と形が同じ |
| -us(parolus) | 話すだろう、話せば | 仮定、丁寧な依頼 |
| -u(parolu) | 話せ、話そう | 命令・勧誘 |
日本語の動詞「行く」は、「今行く」にも「明日行く」にも使える非過去形です。エスペラントでは未来のことを -os で表すのが普通なので、Morgaŭ mi iros(明日行きます)のように、日本語話者は意識して -os を選びましょう。
paroli(話す)の完全な活用表
| 人称 | 現在 | 過去 | 未来 | 仮定 | 命令・願望 |
|---|---|---|---|---|---|
| 私 | mi parolas | mi parolis | mi parolos | mi parolus | mi parolu |
| あなた | vi parolas | vi parolis | vi parolos | vi parolus | vi parolu |
| 彼、彼女、それ | li, ŝi, ĝi parolas | li, ŝi, ĝi parolis | li, ŝi, ĝi parolos | li, ŝi, ĝi parolus | li, ŝi, ĝi parolu |
| 私たち | ni parolas | ni parolis | ni parolos | ni parolus | ni parolu |
| あなたたち | vi parolas | vi parolis | vi parolos | vi parolus | vi parolu |
| 彼ら | ili parolas | ili parolis | ili parolos | ili parolus | ili parolu |
| 人は | oni parolas | oni parolis | oni parolos | oni parolus | oni parolu |
| 日本語の目安 | 話す | 話した | 話すだろう | 話すなら | 話せ、話そう |
エスペラントのすべての動詞が、この表に従います。変わるのは主語だけなので、代名詞は必要です。parolas だけでは、誰が話すのかわかりません。代名詞を参照してください。
esti(〜である)
| 形 | エスペラント | 日本語 |
|---|---|---|
| 不定詞 | esti | 〜である、いる、ある |
| 現在 | estas | 〜だ、〜です、いる、ある |
| 過去 | estis | 〜だった、いた、あった |
| 未来 | estos | 〜だろう、いるだろう |
| 仮定 | estus | 〜だろう |
| 命令・願望 | estu | 〜であれ、〜であるように |
| 分詞 | estanta, estinta, estonta | 〜である、〜であった、〜であろうとする |
- Mi estas feliĉa. – 「私は幸せです。」
- Ili estis hejme. – 「彼らは家にいました。」
- Estu trankvila! – 「落ち着いて!」
- Estas tri katoj en la ĝardeno. – 「庭に猫が3匹います。」
esti のあとの語には、目的語の語尾 -n はつきません。Mi estas instruisto は「私は教師です」。対格を参照してください。
日本語の「です・だ」にあたる働きも、「いる・ある」にあたる働きも、esti ひとつで担います。「いる」(生き物)と「ある」(物)の区別もありません。「持っている」は esti ではなく havi です。Mi havas hundon は「私は犬を飼っています(持っています)」。
また、日本語の形容詞は「大きかった」のように自分で活用しますが、エスペラントの形容詞は時制によって変化しません。時制は esti が担います。La domo estis granda. は「家は大きかった。」
現在、過去、未来
-as は、いま起きていること、習慣、一般的な事実を表します。以前に始まり、いまも続いている状態も表します。Mi loĝas ĉi tie tri jarojn. は「私はここに3年住んでいます。」
-is は、あらゆる種類の過去を表します。Mi jam manĝis. は「もう食べました。」Hieraŭ mi laboris. は「きのう私は働きました。」日本語の「た」と同じように、完了も過去も表せます。
-os は未来です。Morgaŭ mi vizitos vin. は「あした、あなたを訪ねます。」
間接話法では、動詞は元の発言の時制を保ちます。Li diris, ke li volas manĝi. は「彼は食べたいと言いました」(文字どおりには「食べたい」と現在形)。日本語の「食べたいと言った」と同じ感覚です。
仮定 -us
-us は、想像や非現実のことを表し、時間は関係しません。「もし〜なら」の文でも、想像上のことを述べるときは、両方の節に -us をつけます。
- Se mi havus tempon, mi venus. – 「時間があれば、行くのに。」
- Mi ŝatus kafon. – 「コーヒーをいただきたいのですが。」
- Ĉu vi povus helpi min? – 「手伝っていただけませんか?」
現実にありうることには、普通の時制を使います。Se pluvos, mi restos hejme. は「雨が降ったら、家にいます。」エスペラントは、どちらの節にも未来を使います。
命令・願望 -u:命令、願い、「〜しよう」
-u は、誰かが望むこと、頼むこと、命じることを表します。
- Venu! – 「来なさい!」
- Ni iru! – 「行きましょう!」
- Li atendu. – 「彼には待ってもらいましょう。」
- Mi volas, ke vi venu. – 「あなたに来てほしい。」
- Ĉu ni iru? – 「行きましょうか?」
日本語の「〜しよう」「〜しましょう」(勧誘)は、ni + -u の形にあたります。Ni manĝu! は「食べましょう!」です。
丁寧な「どうぞ」は bonvolu +不定詞です。Bonvolu sidiĝi. は「どうぞお座りください。」
敬語はない:丁寧さの表し方
日本語には、「食べる・召し上がる・いただく」のような敬語があります。エスペラントには、敬語の体系がありません。manĝi ひとつを、先生にも友達にも使います。丁寧さは、語の選び方で表します。
| 丁寧さ | エスペラント | 日本語 |
|---|---|---|
| くだけた | Donu al mi akvon. | 「水をちょうだい。」 |
| 丁寧 | Bonvolu doni al mi akvon. | 「水をください。」 |
| とても丁寧 | Ĉu vi bonvolus doni al mi akvon? | 「水をいただけませんでしょうか。」 |
bonvolu は「どうぞ」にあたり、bonvolus(-us の仮定形)を ĉu の疑問文に入れると、最も丁寧になります。ほかにも、mi petas(お願いします)、dankon(ありがとう)、敬称の sinjoro(〜さん、〜様)を添えて、敬意を示せます。
複合時制:簡単に
esti +分詞は、より細かい時間の区別と受動態を表します。
| 形 | 例 | 訳 |
|---|---|---|
| estas + -inta | Mi estas manĝinta. | 「私は食べ終えています。」 |
| estis + -inta | Mi estis manĝinta, kiam li venis. | 「彼が来たとき、私はもう食べ終えていました。」 |
| estas + -ita | La pordo estas fermita. | 「ドアは閉まっています。」 |
| estis + -ita + de | La letero estis skribita de Anna. | 「手紙はアンナによって書かれました。」 |
PMEG は、たいていの場合、単純な形を使うよう勧めています。詳しくは分詞にあります。
他動詞と自動詞:-ig- と -iĝ-
動詞の語根は、他動詞(目的語を取る)か自動詞のどちらかです。Fermi「閉める」は他動詞です。Mi fermas la pordon. は「私はドアを閉めます。」「ドアが閉まる」と言うには、-iĝ- を加えます。La pordo fermiĝas.
-ig- は逆に働き、「〜させる」の意味です。morti「死ぬ」→ mortigi「殺す」。両方をひとつの語根につけることもできます。sidi「座っている」、sidiĝi「座る」、sidigi「座らせる」。接尾辞も参照してください。
日本語には、「閉める/閉まる」「止める/止まる」のように、他動詞と自動詞のペアが数多くあり、別々に覚える必要があります。エスペラントなら、-ig- と -iĝ- で規則的に作れます。
| 日本語(自動詞/他動詞) | エスペラント |
|---|---|
| 閉まる/閉める | fermiĝi / fermi |
| 開く/開ける | malfermiĝi / malfermi |
| 止まる/止める | halti / haltigi |
| 燃える/燃やす | bruli / bruligi |
| 死ぬ/殺す | morti / mortigi |
例文
- Mi legas libron. – 「私は本を読んでいます。」
- Hieraŭ mi legis la tutan tagon. – 「昨日は一日中読書をしました。」
- Morgaŭ mi legos la novan ĉapitron. – 「明日は新しい章を読みます。」
- Kiam vi telefonis, mi kuiris. – 「あなたが電話してきたとき、私は料理をしていました。」
- Mi ŝatus legi pli ofte. – 「もっと頻繁に読書したいのですが。」
- Se mi estus vi, mi ne farus tion. – 「もし私があなただったら、そんなことはしないでしょう。」
- Legu laŭte, mi petas! – 「声に出して読んでください!」
- Ni iru al la biblioteko! – 「図書館に行きましょう!」
- Mi deziras, ke vi estu feliĉa. – 「あなたが幸せであることを願っています。」
- Mi ne komprenas la demandon. – 「質問の意味がわかりません。」
よくある質問
エスペラント語の時制はいくつありますか?
単純な時制は3つです。現在 -as、過去 -is、未来 -os。これに、仮定の -us、命令・願望の -u、不定詞の -i を加えた6つが、動詞の語尾のすべてです。
エスペラント語に不規則動詞はありますか?
ありません。esti(〜である)、havi(持つ)、iri(行く)も含め、すべての動詞が同じ6つの語尾を使います。
エスペラント語で「〜しましょう」はどう言いますか?
ni と -u の形を使います。Ni iru! は「行きましょう!」、Ni manĝu! は「食べましょう!」です。
動詞の否定形はどう作りますか?
動詞の前に ne を置きます。Mi ne komprenas. は「私はわかりません。」疑問文と否定を参照してください。
エスペラント語に「食べている」のような進行形はありますか?
Mi manĝas は、「食べる」と「食べている」の両方を表します。mi estas manĝanta のような複合形もありますが、必要になることはまれです。
エスペラント語に敬語はありますか?
ありません。敬語の体系はなく、bonvolu(どうぞ)、仮定形 -us、敬称 sinjoro などの語で丁寧さを表します。
出典
- Fundamento de Esperanto:第6条(英語版) – エスペラント・アカデミー
- PMEG:Verboj、I-verboj、AS、IS、U、US
- PMEG:Kunmetitaj verboformoj、Nerekta parolo: verboformoj
- PMEG:IG、IĜ
- Esperanto grammar – Wikipedia(英語)
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