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エスペラントの語順|SVOと自由な語順、日本語との違い

誰が何をするかを示すのは、位置ではなく語尾 -n。だから強調したい語を前に出せます。

更新日: 約7分で読めます

エスペラントの普通の語順は、主語―動詞―目的語(SVO)です。La hundo mordis la katon は「犬が猫を噛みました」。目的語に対格の語尾 -n がつくため、語を動かしても、誰が何をしたかは変わりません。La katon mordis la hundo も、犬が猫を噛んだという意味です。

自由には限りがあります。PMEG は、語順は明確さに役立つものでなければならないという基本原則を、はっきり述べています。前置詞、la、ne などの小語の位置は決まっています。

なぜ語順を変えられるのか

英語では、位置が主語を示します。エスペラントでは、語尾が示します。下の6通りは、どれも「犬が猫を噛んだ」を意味します。矢印はいつも、主語から -n のついた語へ向かい、その語がどこにあっても変わりません。出来事が変わるのは、最後の行のように -n を動かしたときだけです。

La hundo 主語 mordis 動詞 la katon 目的語

La katon 目的語 mordis 動詞 la hundo 主語

La hundo 主語 la katon 目的語 mordis 動詞

La katon 目的語 la hundo 主語 mordis 動詞

Mordis 動詞 la hundo 主語 la katon 目的語

Mordis 動詞 la katon 目的語 la hundo 主語

犬が猫を噛みました。

La kato 主語 mordis 動詞 la hundon 目的語

猫が犬を噛みました。

SVO が標準で、ほかの語順は強調の置き所を変えます(PMEG)。英語では、語順を入れ替えると "The cat bit the dog"(猫が犬を噛んだ)という別の出来事になります。

日本語(SOV)との比較

日本語の標準的な語順は、主語―目的語―動詞(SOV)で、動詞は必ず文末に来ます。エスペラントの標準は SVO で、動詞は主語の次です。

ただし、日本語にも助詞のおかげで語順を入れ替えられる性質があり、「犬が猫を噛んだ」と「猫を犬が噛んだ」は、どちらも言えます。エスペラントの -n は、この助詞「を」と同じ役目を果たします。違いは、日本語では動詞が常に最後に来るのに対し、エスペラントでは動詞が文頭にも、中ほどにも来られることです。

項目日本語エスペラント
動詞の位置文末主語の次が標準。自由に動かせる
助詞/前置詞名詞のあと(机の上に)名詞の前(sur la tablo)
疑問の「か」文末ĉu は文頭
否定述語のあと(食べない)ne は語の前
関係節名詞の前(来た男性)名詞のあと(la viro, kiu venis)
「〜ということ」の節動詞の前(来ることを知っている)動詞のあと(Mi scias, ke vi venos.)
形容詞名詞の前名詞の前が多い(後ろも可)
比べる相手先に言う(Bより高い)あとに言う(pli alta ol B)
日付年・月・日日・月・年

日本語話者が最初に慣れるべきなのは、「前置詞は名詞の前」「疑問と否定の語が前に来る」「節はあとに続く」の3点です。

標準の語順

PMEG は、基本のパターンを「主語―主動詞―目的語―その他の部分」としています。

  • Karlo manĝas rizon per manĝbastonetoj. – 「カールは箸でご飯を食べます。」

文は、普通、すでにわかっていること(話題)から始まり、新しい情報で終わります(Wikipedia)。日本語の「Aは、Bです」と同じ流れです。ある部分を前に出すと、それが話題になるか、重みが加わります。

  • Tiun libron mi jam legis. – 「その本は、もう読みました。」
  • Sur la sofo ili sidas. – 「彼らが座っているのは、ソファの上です。」
  • Vin mi amas. – 「私が愛しているのは、あなたです。」

文の終わりに重みが置かれることもあります。Sur la sofo sidas ili は、だれが座っているのかを際立たせ、「ソファに座っているのは、彼らです。」という意味になります。

日本語の「は」で話題を示す役割を、エスペラントは語を前に動かすことで果たします。Tiun libron mi jam legis の tiun libron は、「その本は」にあたります。

語順が決め手になるとき

どちらの名詞にも -n がつかないときは、位置が決めます。esti(〜である)や fariĝi(〜になる)のあとで、両方の名詞が主格のままになる場合です(PMEG)。

  • Lernanto fariĝis instruisto. – 「生徒が教師になりました。」
  • Instruisto fariĝis lernanto. – 「教師が生徒になりました。」

ここでは、主語が先に来ます。日本語では「が」が主語を示しますが、エスペラントの主語には特別な印がないので、位置で決まります。前置詞のような決まった小語も、次の表のとおり位置を保ちます。

自由ではないもの

要素規則例
前置詞必ず名詞の前sur la tablo。la tablo sur とは言わない
la名詞と形容詞の前la granda domo
接続詞つなぐものの前mi kaj vi;Mi scias, ke vi venos.
ne打ち消す語の直前Mi ne dormas.
ĉu普通は疑問文の文頭Ĉu vi venos?
ajn相関詞の直後kiu ajn「だれでも」
nur, eĉ, ankaŭ, tre普通は、指す語の直前Nur mi vidis lin. と Mi vidis nur lin.

最後の行は、意味が変わります。Nur mi vidis lin は「私だけが彼を見ました」、Mi vidis nur lin は「私は彼だけを見ました」です。副詞と疑問文と否定を参照してください。

形容詞は名詞の前か後ろか

形容詞は、普通、名詞の前に来ます。bela domo「美しい家」。後ろに置くこともできます。domo bela。どちらも正しく、形容詞―名詞の順がやや一般的です(Wikipedia)。冠詞 la は、それでも先頭です。la domo bela。

形容詞は数と格で一致するので(名詞と形容詞参照)、離れていても、語尾が、形容詞がどの名詞に属するかを示します。

  • Mi vidis grandan hundon. = Hundon grandan mi vidis. – 「私は大きな犬を見ました。」
  • Ruĝajn pomojn li aĉetis. – 「彼が買ったのは、赤いリンゴです。」

疑問文でも語順は変わらない

エスペラントは、疑問文で主語と動詞を入れ替えません。Vi parolas Esperanton は、ĉu を加えるだけで、Ĉu vi parolas Esperanton? になります。kie(どこで)のような ki- の語は、普通、文頭に来ます。Kie vi loĝas? は「どこに住んでいますか?」です。

例文

  • Mi trinkas kafon ĉiumatene. – 「私は毎朝コーヒーを飲みます。」
  • Ĉiumatene mi trinkas kafon. – 「毎朝、私はコーヒーを飲みます。」
  • Kafon mi trinkas matene, teon vespere. – 「コーヒーは朝に、お茶は晩に飲みます。」
  • En la ĝardeno ludas la infanoj. – 「庭で子どもたちが遊んでいます。」
  • La patrino lavas la infanon. – 「母親が子どもを洗っています。」
  • La patrinon lavas la infano. – 「子どもが母親を洗っています。」
  • Ankaŭ mi trinkas kafon. – 「私もコーヒーを飲みます(ほかの人たちと同じように)。」
  • Mi trinkas ankaŭ kafon. – 「私はコーヒーも飲みます(ほかの飲み物だけでなく)。」
  • Ne mi trinkas kafon, sed mia frato. – 「コーヒーを飲むのは私ではなく、兄です。」

よくある質問

エスペラント語の語順は自由ですか?

おおむね自由です。目的語に -n がつくので、主語と目的語はどんな順序でも置けます。前置詞、la、ne、接続詞の位置は決まっています。

エスペラント語の基本の語順は何ですか?

主語―動詞―目的語です。Mi lernas Esperanton は「私はエスペラントを学んでいます」。ほかの語順も正しく、強調のために使われます。日本語(主語―目的語―動詞)とは、動詞の位置が違います。

日本語のように動詞を文末に置けますか?

文法的には置けます。Mi Esperanton lernas も正しい文です。ただし標準の語順ではなく、目的語を目立たせる効果が出ます。標準は、動詞を主語の次に置く形です。

形容詞を名詞の後ろに置けますか?

置けます。Bela domo も domo bela も正しく、形容詞を前に置くほうが一般的です。

疑問文で語順は変わりますか?

変わりません。「はい・いいえ」の疑問文では文頭に ĉu を加え、そのほかの部分は元のままです。

エスペラント語で語順が重要になるのはどんなときですか?

-n がつく語がないときです。たとえば esti や fariĝi の文では、Lernanto fariĝis instruisto は、生徒が教師になった、という意味になります。ne, nur, ankaŭ などの語でも、位置が重要です。

出典

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