文法
エスペラント語の関係節|kiu・kiun・kio・kies の使い方
エスペラントには何にでも使える「that」はありません。kiu は名詞を説明し、ke は内容を述べ、-n は kiu が節の中で果たす働きで決まります。
エスペラントの関係節は、ki- で始まる語、ふつうは kiu で始まります。kiu は、説明している名詞の代わりをします。La libro, kiun mi legas, estas bona. – 「私が読んでいる本はいい本です。」Kiu は、英語の who、which、that にあたる語ひとつで、人にもものにも使います。名詞が複数なら -j が、kiu が自分の節の中で目的語なら -n がつきます。PMEG は、これを rilataj subfrazoj(関係節)と呼びます。
関係節は、説明する名詞のすぐあとに置きます。英語では関係詞を省ける場合がありますが、エスペラントでは省きません。「私が読んだ本」は la libro, kiun mi legis です。日本語には関係詞がなく、修飾する節が名詞の前に来るので、語順が逆になる点に注意してください。
どの関係詞を使うか
| 説明する名詞 | 使う語 | 例 |
|---|---|---|
| 人やもの。節の主語 | kiu、kiuj | La viro, kiu loĝas tie, estas mia onklo. – 「そこに住んでいる男性は私のおじです。」 |
| 人やもの。節の目的語 | kiun、kiujn | La libroj, kiujn mi legas, estas bonaj. – 「私が読んでいる本はいい本です。」 |
| 人やもの。前置詞のあと | 前置詞+kiu | la amiko, kun kiu mi parolis – 「私がいっしょに話した友達」 |
| 持ち主 | kies | la knabino, kies patro estas kuracisto – 「父親が医者である少女」 |
| tio, ĉio, io, nenio や、文全体 | kio、kion | ĉio, kion vi diris – 「あなたが言ったすべてのこと」 |
| 場所や時 | kie、kien、kiam | la urbo, kie mi naskiĝis – 「私が生まれた町」 |
| 様子、種類、量 | kiel、kia、kiom | tiom da tempo, kiom vi bezonas – 「あなたが必要なだけの時間」 |
Kiu, kiuj, kiun, kiujn
Kiu は、形容詞と同じように、代わりをする名詞に数を合わせます。-n がつくかどうか(対格)は、kiu が関係節の中で果たす働きだけで決まります。名詞が主節で果たす働きには関係ありません。
| 節の中での kiu の働き | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 主語 | kiu | kiuj |
| 目的語 | kiun | kiujn |
| 前置詞のあと | kun kiu | kun kiuj |
形を選ぶには、関係節を独立した文に戻して、kiu が何の代わりかを見ます。Mi legas la libron からは la libro, kiun mi legas(目的語なので -n)ができ、La viro loĝas tie からは la viro, kiu loĝas tie(主語なので -n なし)ができます。
- Mi vidis la knabon, kiu kantis. – 「私は、歌っていた男の子を見ました。」Knabon は vidis の目的語ですが、kiu は kantis の主語なので、-n がつきません。
- La knabo, kiun mi vidis, kantis. – 「私が見た男の子は歌っていました。」今度は knabo が主語で、kiun が目的語です。
日本語の修飾から関係節を作る
日本語の「私が読んでいる本」のように、名詞を修飾する節は名詞の前に来て、関係詞はありません。エスペラントでは、名詞のあとに kiu などでつなぎます。使う形は、日本語の節の中で、名詞が抜けている場所(空所)に、どんな助詞が入るかを考えると見つかります。
| 日本語 | 空所に入る助詞 | エスペラント |
|---|---|---|
| __が来た男性 | が(主語) | la viro, kiu venis |
| 私が__を読んでいる本 | を(目的語) | la libro, kiun mi legas |
| 私が__と話した友達 | と、で、になど(前置詞) | la amiko, kun kiu mi parolis |
| __の父が医者である少女 | の(持ち主) | la knabino, kies patro estas kuracisto |
| 私たちが__で眠る部屋 | で(場所) | la ĉambro, en kiu ni dormas |
「が」でも、エスペラントでは目的語。 日本語の「好き」「ほしい」「わかる」「見える」の対象には、「が」がつきます。しかし、エスペラントの ŝati、voli、kompreni、vidi は他動詞で、その対象は目的語です。ですから「私が好きな食べ物」は la manĝaĵo, kiun mi ŝatas で、kiu ではなく kiun です(対格参照)。
「こと」は kio。 「起きたこと」「あなたが言ったこと」のように、「こと」「もの」を修飾する節は、tio, kio okazis、tion, kion vi diris のように、tio のあとに kio の節を続けて表します(「Kio」の節をご覧ください)。
「という」は ke。 日本語の「アンナが来るという知らせ」の「という」は、ke にあたります。この節には名詞の抜けた空所がなく、知らせの内容を述べているだけです。kiu は使いません(「Ke と kiu の使い分け」の節をご覧ください)。
前置詞を kiu の前に置く
前置詞は kiu のすぐ前に置き、2語で節が始まります。英語は前置詞を文末に残せますが、エスペラントではできません(PMEG)。
| 日本語 | エスペラント |
|---|---|
| 私が話した友達 | la amiko, kun kiu mi parolis |
| 私たちが眠る部屋 | la ĉambro, en kiu ni dormas |
| 私が入った部屋 | la ĉambro, en kiun mi iris |
前置詞のあとの kiu には、方向を表す場合を除いて、-n がつきません。en kiu は「その中で」、en kiun は「その中へ」です。
Kio:tio, ĉio, io, nenio のあと
説明される語が -o で終わる相関詞のときは、kiu ではなく kio(目的語なら kion)を使います。
- Tio, kio okazis, estis stranga. – 「起きたことは奇妙でした。」
- Mi komprenis ĉion, kion vi diris. – 「あなたが言ったことは、すべてわかりました。」
- Ŝi havas nenion, kion ŝi volas kaŝi. – 「彼女には、隠したいことは何もありません。」
Kio は、「もの・こと」の意味で単独で使う形容詞のあとにも来ます。la unua, kion mi lernis – 「私が最初に学んだこと」。名詞がつくと、kiu に戻ります。la unua vorto, kiun mi lernis – 「私が最初に学んだ単語」。また、kio は節全体の代わりになれます。Ŝi gajnis la konkurson, kio ĝojigis ĉiujn. – 「彼女はコンテストに優勝し、それがみんなを喜ばせました。」
Kies:「〜の」
Kies は英語の whose にあたり、持ち主を表します。kies 自身には -j も -n もつかず、そのあとの名詞につきます。
- La knabino, kies patro estas kuracisto, loĝas apud mi. – 「父親が医者である少女は、私の隣に住んでいます。」
- Jen la viro, kies hundon mi trovis. – 「こちらが、飼い犬を私が見つけた男性です。」
Kies は、おもに所有や所属を表します。仲間のうちの一部を取り出すときは、el kiuj を使います。Mi havas tri katojn, el kiuj unu estas nigra. – 「私は猫を3匹飼っていて、そのうち1匹は黒猫です。」
Kie, kiam, kiel と tiu … kiu の組
主節の ti- の語に、同じ組の ki- の語が対応することがよくあります。そのため、相関詞は表にまとめられています。
| 主節 | 関係節 | 例 |
|---|---|---|
| tiu | kiu | Tiu, kiu venis, estas mia frato. – 「来たのは私の兄です。」 |
| tio | kio | Mi aŭdis tion, kion vi diris. – 「あなたが言ったことを聞きました。」 |
| tia | kia | Mi serĉas tian ĉambron, kian vi priskribis. – 「あなたが説明したような部屋を探しています。」 |
| tie、tien | kie、kien | Mi restos tie, kie vi estas. – 「私は、あなたがいる場所にとどまります。」 |
| tiam | kiam | Venu tiam, kiam vi povas. – 「来られるときに来てください。」 |
| tiel | kiel | Skribu tiel, kiel vi parolas. – 「話すとおりに書いてください。」 |
ti- の語は、ki- の語と同じ形になる場合は省けます。Kiu serĉas, trovas. – 「探す者は見つける。」形が異なる場合は、残さなければなりません。Mi konas tiun, kiu telefonis. – 「私は電話してきた人を知っています。」Mi konas, kiu telefonis とは言えません。tiun には -n がつきますが、kiu にはつかないからです。
名詞のあとの kie と kiam も、同じように働きます。la tago, kiam ni renkontiĝis – 「私たちが出会った日」。Kie は、「その中で」の en kiu の代わりによく使われます。la ĝardeno, kie ni ludis = la ĝardeno, en kiu ni ludis – 「私たちが遊んだ庭」。関係詞としての kial はまれで、la kaŭzo, pro kiu ili foriris – 「彼らが去った理由」のように書きます。
Ke と kiu の使い分け
英語の that は、名詞を説明する働き(the book that I read)と、内容を述べる働き(I know that you are right)の2つをします。エスペラントはこの2つを分けます。Ke にはそれ自体の意味がなく、節の始まりを示すだけです(PMEG)。接続詞をご覧ください。日本語でも、名詞を説明する節(「私が読んだ本」)と、内容を述べる節(「あなたが正しいと思う」「〜という知らせ」)は形が違います。ke は、後者の「と」「という」にあたります。
| 日本語 | エスペラント | 理由 |
|---|---|---|
| 私が読んだ本 | la libro, kiun mi legis | 本は「読む」の目的語です。 |
| あなたが正しいことを知っています | Mi scias, ke vi pravas. | 「知っている」のあとの、内容を述べる節です。 |
| アンナが私に話した知らせ | la novaĵo, kiun Anna rakontis al mi | 知らせは「話した」の目的語です。 |
| アンナが来るという知らせ | la novaĵo, ke Anna venos | 節が、知らせの内容を具体的に述べています。 |
見分けるには、名詞を節の中に戻してみます。Mi legis la libron が成り立つので、kiun を使います。Anna venos は「知らせ」がなくても完全な文なので、ke を使います。日本語で言えば、節の中に名詞の入る空所があるかどうかです。「私が(__を)読んだ本」には空所があり(kiun)、「アンナが来るという知らせ」には空所がありません(ke)。
文の中の疑問
文の中に入る疑問は、ĉu(はい・いいえの疑問)か ki- の語で始まり、疑問符はつけません。疑問文と否定をご覧ください。
- Mi ne scias, ĉu ŝi venos. – 「彼女が来るかどうか、私は知りません。」
- Mi ne scias, kiu venos. – 「だれが来るのか、私は知りません。」
日本語の「〜かどうか」は ĉu にあたり、「だれが来るのか」「いつ来るのか」のように疑問詞を含む疑問は、ki- の語で始めます。「かどうか」に se(「もし」)を使ってはいけません。同じ ki- の節が、疑問にも、tion を省いた関係節にもなります。Mi scias, kion vi diris は、「あなたが何と言ったか知っています」とも「あなたが言ったことを知っています」とも訳せて、違いはほとんどありません(PMEG)。
コンマ
PMEG は、コンマに拘束力のある規則を定めていません。自然な切れ目があるところ、たとえば従属節の前に置くのが合います。Mi vidis katon, kiu dormis sur la tablo. – 「私は、テーブルの上で眠っていた猫を見ました。」節が文の途中に入るときは、前後にコンマを置きます。La viro, kiu loĝas tie, estas mia onklo. 名詞を特定する節のまわりにも、コンマはいつでも置いてかまいません(PMEG)。
コンマは前置詞の前に置き、kiu の前には置きません。la amiko, kun kiu mi parolis であって、la amiko kun, kiu mi parolis は誤りです。
よくある間違い
| 間違い | よりよい形 | 理由 |
|---|---|---|
| La libro, kiu mi legas | La libro, kiun mi legas | Kiu は legas の目的語です。 |
| Mi vidis la viron, kiun kantis. | Mi vidis la viron, kiu kantis. | Kiu は kantis の主語です。viron の -n は、そのまま写しません。 |
| La libro mi legas | La libro, kiun mi legas | 関係詞は省けません。日本語の「私が読む本」の語順をそのまま写さないようにします。 |
| La amiko, mi parolis kun | La amiko, kun kiu mi parolis | 前置詞は kiu の前に置きます。 |
| La manĝaĵo, kiu mi ŝatas | La manĝaĵo, kiun mi ŝatas | 日本語では「が」でも、ŝati の対象は目的語です。 |
| ĉio, kiu mi diris | ĉio, kion mi diris | ĉio のあとは kio を使います。 |
| Mi pensas, kiu vi pravas. | Mi pensas, ke vi pravas. | 内容を述べる節には ke が必要です。 |
| Mi ne scias, se ŝi venos. | Mi ne scias, ĉu ŝi venos. | Ĉu が「かどうか」で、se は「もし」です。 |
例文
- La filmo, kiun ni vidis hieraŭ, estis tre amuza. – 「私たちが昨日見た映画は、とても面白かったです。」
- Mi havas amikon, kiu parolas kvin lingvojn. – 「私には、5か国語を話す友達がいます。」
- La urbo, en kiu mi naskiĝis, estas malgranda. – 「私が生まれた町は小さいです。」
- La homoj, kun kiuj mi laboras, estas tre afablaj. – 「私が一緒に働いている人たちは、とても親切です。」
- Jen la instruisto, kies lecionojn mi ŝatas. – 「こちらが、私が授業を気に入っている先生です。」
- Ĉio, kion vi bezonas, estas en la sako. – 「必要なものはすべて、袋の中にあります。」
- Mi memoras la tagon, kiam ni unue renkontiĝis. – 「私たちが初めて出会った日のことを覚えています。」
- Ŝi loĝas en la domo, kie loĝis ŝiaj geavoj. – 「彼女は、祖父母が住んでいた家に住んでいます。」
よくある質問
エスペラント語で who、which、that はどう言う?
人にもものにも kiu を使い、複数なら kiuj です。la viro, kiu venis – 「来た男性」。tio, ĉio, io, nenio のあとは kio を使います。内容を述べる前に来る英語の that は、ke です。
kiu と kiun のどちらを使う?
その語が自分の節の中で目的語なら kiun(la libro, kiun mi legas)、主語なら kiu(la viro, kiu loĝas tie)です。
エスペラント語では関係詞を省略できる?
できません。「私が読んだ本」は la libro, kiun mi legis、「私が話した友達」は la amiko, kun kiu mi parolis でなければなりません。日本語には関係詞がないので、つい省いてしまいがちな点に注意してください。
ke と kiu の違いは何?
Kiu は名詞を説明し、節の中でその名詞の代わりをします。Ke は、内容や、名詞の中身を述べる節を始めるだけです。Mi scias, ke vi pravas、la fakto, ke li venis。
kiu の前にコンマは必要?
たいていは置きます。Mi vidis la viron, kiu loĝas tie. PMEG は拘束力のある規則を定めていませんが、従属節の前にコンマを置くのが普通です。
出典
- PMEG:Rilataj subfrazoj、Rilataj kiu, kio kaj kiesと、その各ページ:kiu、kio、kies
- PMEG:Aliaj rilataj KI-vortoj、Forlaso de TI-vorto
- PMEG:Ke-frazoj、Ke-frazoj kiel priskribo、Demandaj subfrazoj
- PMEG:Kio estas subfrazo?、Helposignoj (komo)
- Esperanto grammar – Wikipedia(英語)
- 関係節 – Wikipedia(日本語)
- 単語の意味は ReVo (Reta Vortaro) で確認しました
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