文法
エスペラントの前置詞33個|日本語の助詞との対応表
33個の短い語は、それぞれ意味がひとつ。例外の je だけが、意味を持ちません。
エスペラントの公式の前置詞は33個で、すべて1905年の『エスペラントの基礎』に載っています。形は変わらず、必ず名詞の前に置かれ、そのあとの名詞は主格のままです(16か条の第8条)。
例外がひとつあります。場所を表す前置詞のあとでは、語尾 -n が、ある場所へ向かう動きを表します。どの前置詞も意味に合わないときは、それ自体に意味を持たない唯一の前置詞 je を使います。
日本語の助詞との対応
日本語は助詞を名詞のあとにつけますが、エスペラントの前置詞は名詞の前に置きます。「机の上に」は sur la tablo、つまり「上に・机」の順で、日本語と並びが逆になります。
もうひとつ大きな違いがあります。日本語の助詞は、ひとつで多くの意味を担います。「に」は方向、場所、時刻、相手のすべてに使い、「で」は場所にも道具にも使います。エスペラントの前置詞は、意味ごとに別の語です。
| 日本語 | エスペラント | 例 |
|---|---|---|
| の(所有・出身) | de | la libro de Petro 「ピーターの本」 |
| の(量・容器) | da | glaso da akvo 「コップ1杯の水」 |
| の(材料・部分) | el | ringo el oro 「金の指輪」 |
| に・へ(方向・到着点) | al | al la urbo 「町へ」 |
| に(存在する場所) | en, sur, ĉe, apud など | en la ĉambro 「部屋に」、sur la tablo 「机の上に」 |
| に(相手) | al | doni al Petro 「ピーターにあげる」 |
| に(時刻) | je | je la tria 「3時に」 |
| で(動作の場所) | en, sur, ĉe など | en la parko 「公園で」 |
| で(手段・道具) | per | per krajono 「鉛筆で」、per trajno 「電車で」 |
| と(いっしょに) | kun | kun amiko 「友達と」 |
| から(出発点) | de, el | de Varsovio 「ワルシャワから」、el la domo 「家の中から」 |
| まで | ĝis | ĝis morgaŭ 「あしたまで」 |
| について | pri | pri la vetero 「天気について」 |
| のために(目的・利益) | por | por vi 「あなたのために」 |
| のせいで(原因) | pro | pro la pluvo 「雨のせいで」 |
| なしで | sen | sen mono 「お金なしで」 |
| を(目的語) | 前置詞なし、語尾 -n | legi libron 「本を読む」 |
つまり、「に」と「で」を前置詞に直すときは、「その名詞とどういう関係か」を考えて選ぶことになります。たとえば「公園で」「部屋で」は動作の場所なので en、「鉛筆で」は道具なので per です。
場所と移動の前置詞を一覧で
あるものが別のものに対してどこにあるかを表す語が12個、移動を表す語が5個あります。移動を表すのは、al「〜へ」、de「〜から」、el「〜から(外へ)」、tra「〜を通って」、ĝis「〜まで」です。malantaŭ「〜の後ろに」は33個には入りませんが、mal- + antaŭ から作られた語です。以下の例文は、すべて PMEG から取ったものです。
en 〜の中にLi kuŝis en la lito. 彼はベッドに横になっていました。
33個の前置詞
| 前置詞 | 意味 | 例 | 訳 |
|---|---|---|---|
| al | 〜へ;(人)に | al la urbo; doni al Petro | 「町へ;ピーターにあげる」 |
| anstataŭ | 〜の代わりに | teo anstataŭ kafo | 「コーヒーの代わりにお茶」 |
| antaŭ | 〜の前に;(時)〜の前に | antaŭ la domo; antaŭ la leciono | 「家の前に;授業の前に」 |
| apud | 〜のそばに | apud la fenestro | 「窓のそばに」 |
| ĉe | 〜のところで;〜の家で | ĉe la tablo; ĉe mi | 「テーブルのところで;私の家で」 |
| ĉirkaŭ | 〜のまわりに;およそ | ĉirkaŭ la lago; ĉirkaŭ tri horoj | 「湖のまわりに;約3時間」 |
| da | 〜の(量のあと) | glaso da akvo | 「コップ1杯の水」 |
| de | 〜から;〜の(所有);〜によって(動作主) | de Varsovio; la libro de Petro; amata de ĉiuj | 「ワルシャワから;ピーターの本;みんなに愛されている」 |
| dum | 〜のあいだ | dum la tago | 「昼のあいだ」 |
| ekster | 〜の外に | ekster la urbo | 「町の外に」 |
| el | 〜から(外へ);〜でできた;〜のうちの | el la domo; el ligno; unu el ni | 「家から出て;木でできた;私たちの1人」 |
| en | 〜の中に;(-n で)〜の中へ | en la ĉambro; en la ĉambron | 「部屋の中に;部屋の中へ」 |
| ĝis | 〜まで | ĝis morgaŭ; ĝis la stacio | 「あしたまで;駅まで」 |
| inter | 〜のあいだに | inter la arboj | 「木々のあいだに」 |
| je | 決まった意味なし | je la tria horo | 「3時に」 |
| kontraŭ | 〜に逆らって;〜の向かいに | kontraŭ la vento | 「風に逆らって」 |
| krom | 〜以外に;〜のほかに | ĉiuj krom mi | 「私以外の全員」 |
| kun | 〜と(いっしょに) | kun amiko | 「友達と」 |
| laŭ | 〜によれば;〜に沿って | laŭ mi; laŭ la rivero | 「私の考えでは;川に沿って」 |
| malgraŭ | 〜にもかかわらず | malgraŭ la pluvo | 「雨にもかかわらず」 |
| per | 〜によって、〜で(道具) | per krajono; per trajno | 「鉛筆で;電車で」 |
| po | 〜ずつ | po tri pomoj | 「リンゴを3個ずつ」 |
| por | 〜のために;〜するために | por vi; por lerni | 「あなたのために;学ぶために」 |
| post | 〜のあとに;〜の後ろに | post la leciono; post la domo | 「授業のあとに;家の後ろに」 |
| preter | 〜のそばを通り過ぎて | preter la domo | 「家のそばを通り過ぎて」 |
| pri | 〜について | pri la vetero | 「天気について」 |
| pro | 〜のせいで、〜のために(原因) | pro la pluvo | 「雨のせいで」 |
| sen | 〜なしで | sen mono | 「お金なしで」 |
| sub | 〜の下に | sub la tablo | 「机の下に」 |
| super | 〜の上方に | super la urbo | 「町の上空に」 |
| sur | 〜の上に(接して) | sur la tablo | 「机の上に」 |
| tra | 〜を通って | tra la arbaro | 「森を通り抜けて」 |
| trans | 〜の向こう側に;〜を越えて | trans la rivero | 「川の向こう側に」 |
malantaŭ「〜の後ろに」(mal- + antaŭ)や ekde「〜から(時間の起点)」のような語は、この33個から作られており、別には数えません。PMEG は、far「(作者)による」のような非公式の前置詞もいくつか挙げていますが、多くの書き手は代わりに fare de を使います。
日本語話者が迷いやすい組
日本語の「で」「の」「ために」は、それぞれ複数の前置詞に分かれます。
| 日本語 | エスペラント | 例 |
|---|---|---|
| 〜で(場所) | en | Mi manĝas en la ĉambro. – 「私は部屋で食べます。」 |
| 〜で(道具) | per | Mi manĝas per forko. – 「私はフォークで食べます。」 |
| 〜と(同伴) | kun | Mi manĝas kun amiko. – 「私は友達と食べます。」 |
| 〜の(量) | da | kilogramo da pomoj – 「リンゴ1キロ」 |
| 〜の(所有・出身) | de | la domo de mia patro – 「父の家」 |
| 〜の(材料・部分) | el | ringo el oro – 「金の指輪」 |
| 〜のために(目的・利益) | por | Ĝi estas por vi. – 「これはあなたのためのものです。」 |
| 〜のために(原因) | pro | Dankon pro la helpo. – 「手伝ってくれてありがとう。」 |
| 〜のあいだ(期間) | dum または -n | dum du semajnoj / du semajnojn – 「2週間」 |
je:意味を持たない前置詞
『エスペラントの基礎』の第14条は、どの前置詞にも決まった意味があるとしています。どれも合わないときに je を使います。主な用法は次のとおりです(PMEG)。
- 時刻と祝日: je la oka – 「8時に」。je Pasko – 「復活祭に」。日本語の「に」にあたります。
- 差の大きさ: je unu jaro pli juna – 「1歳若い」。
- 体の部分と状態: kapti je la brako – 「腕をつかむ」。malsana je la brusto – 「胸を病んでいる」。
- 気持ちと信仰: kredi je Dio – 「神を信じる」。
PMEG は、もっと正確な前置詞があるときは、je を避けるよう勧めています。時刻については数詞を参照してください。
方向:前置詞 + -n
場所の前置詞(en, sur, sub, antaŭ, apud, inter, trans など)は、ものがどこにあるかを示します。名詞に -n をつけると、どこへを示します(第13条)。これは対格の用法のひとつです。日本語の「で・に(いる)」と「へ・に(向かう)」の違いに近い感覚です。
| 位置(-n なし) | 移動(-n あり) |
|---|---|
| La kato saltas sur la tablo. – 「猫は机の上で跳ねています。」 | La kato saltas sur la tablon. – 「猫は机の上に跳び乗ります。」 |
| La birdo flugas en la ĉambro. – 「鳥は部屋の中を飛んでいます。」 | La birdo flugas en la ĉambron. – 「鳥は部屋の中へ飛んできます。」 |
場所も表せる前置詞だけが、方向の -n をとります。al, el, de, ĝis は場所を表すことがないので、あとに -n はつきません。al la urbo、el la lernejo。方向の -n は、いつもある場所へ向かう移動を表し、そこから離れる移動を表すことはありません(PMEG)。日本語の「へ」にあたる al には、すでに方向の意味があるので、al la urbon とは言いません。
前置詞の代わりの対格
第14条は、意味のない前置詞 je の代わりに、-n だけを使うことも認めています。Mi ridas je lia naiveco = Mi ridas lian naivecon – 「私は彼の純真さを笑います」。ridi のような動詞では、今日ではまれです。時や数量では普通です。
- Mi venos lundon. – 「私は月曜日に来ます。」
- Ni restis tri tagojn. – 「私たちは3日間とどまりました。」
- Ĝi kostas dek eŭrojn. – 「それは10ユーロです。」
接頭辞や語根としての前置詞
ほとんどの前置詞は、動詞の接頭辞としても働きます。意味は前置詞に近いままです。
| 語 | 部品 | 意味 |
|---|---|---|
| alveni | al + veni | 「到着する」 |
| eliri | el + iri | 「出ていく」 |
| eniri | en + iri | 「入る」 |
| kunlabori | kun + labori | 「協力する」 |
| subskribi | sub + skribi | 「署名する」 |
| transiri | trans + iri | 「横切る」 |
| priskribi | pri + skribi | 「描写する」 |
| antaŭvidi | antaŭ + vidi | 「予見する」 |
antaŭvidi は、「前もって」+「見る」で「予見」と同じ作りです。日本語の漢字熟語に似た感覚で、動詞をつなげていけます。
通常の語尾もつけられます。apuda「隣接した」、kontraŭa「反対の」、antaŭe「以前に」、poste「あとで」、kune「いっしょに」、ĉirkaŭi「取り囲む」。句全体がひとつの語になることもあります。sen hejmo → senhejma「家のない」、inter nacioj → internacia「国際的な」(「国」と「際」でできた「国際」と同じ作りです)。語形成と接頭辞を参照してください。
例文
- La kato dormas sub la tablo. – 「猫はテーブルの下で寝ています。」
- La kato kuris sub la tablon. – 「猫はテーブルの下へ走っていきました。」
- Mi atendos vin antaŭ la kinejo. – 「映画館の前であなたを待ちます。」
- Post la leciono ni iris al kafejo. – 「授業のあと、私たちはカフェに行きました。」
- Ŝi venas el Brazilo. – 「彼女はブラジルの出身です。」
- Mi ricevis leteron de mia avino. – 「私は祖母から手紙を受け取りました。」
- Ni promenis tra la arbaro. – 「私たちは森の中を歩いて通り抜けました。」
- Mi laboras ĉe granda firmao. – 「私は大きな会社で働いています。」
- Li parolis pri sia vojaĝo dum la tuta vespero. – 「彼は、その晩はずっと自分の旅行について話していました。」
よくある質問
エスペラント語の前置詞はいくつありますか?
公式の前置詞は33個で、すべて1905年の『エスペラントの基礎』に載っています。malantaŭ のような派生形や、far のような非公式の語は数えません。
日本語の「に」「で」は、エスペラント語のどの前置詞にあたりますか?
決まった1つの前置詞はありません。「に」は、方向なら al、存在する場所なら en, sur, ĉe、時刻なら je、相手なら al です。「で」は、場所なら en, sur, ĉe、道具なら per です。上の表で、意味から選んでください。
前置詞のあとはどの格になりますか?
主格です。kun mia amiko。唯一の例外は、場所の前置詞のあとで方向を表す場合で、名詞に -n がつきます。en la domon は「家の中へ」。
kun と per の違いは何ですか?
Kun は人や物と「いっしょに」、per は道具や方法を「使って」の意味です。Mi skribas kun amiko per krajono は「私は友達といっしょに、鉛筆で書きます」。
je はいつ使いますか?
ほかの前置詞が合わないときだけ使います。最も多いのは時刻です。je la tria は「3時に」。
de と da の違いは何ですか?
Da は量と、量られるものを結びます。glaso da vino は「ワイン1杯」。De は所有、出身、動作主を示します。la glaso de Petro は「ピーターのグラス」。
出典
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