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エスペラント語の文章例|日本語訳つき7編

エスペラントの文章はどんな姿をしているのでしょう。最初の会話から詩まで、短い7編を、訳と解説つきで読みましょう。

更新日: 約15分で読めます

エスペラントはラテン文字で、発音どおりに書かれます。語根の大半はヨーロッパの言語に由来するので、familio「家族」、harmonio「調和」、karaktero「性格」のような語は、見ればだいたい想像がつきます。文章を「エスペラントらしく」見せているのは、規則的な語尾です。名詞は -o、形容詞は -a、現在形の動詞は -as、目的語は -n で終わります。以下は、やさしいものから難しいものへ並べた、7編の短い文章です。5編は、パブリックドメインか公的な出典のもの(ザメンホフの1887〜1905年の本から4編、世界人権宣言から1編)で、2編は、このページのために書き下ろしました。

どの文章にも、日本語訳と、文法についての短い解説がついています。

どのエスペラントの文章でも見るべき点

見えるもの意味例
-o名詞patro – 「父」
-a形容詞nova – 「新しい」
-e副詞ĝentile – 「丁寧に」
-as, -is, -os動詞:現在、過去、未来venis – 「来た」
-us, -u動詞:「〜だろう」、命令や願いestus – 「〜だろう」
-j複数homoj – 「人々」
-n直接目的語、または方向Mi lernas Esperanton. – 「私はエスペラントを学んでいます。」
ĉ ĝ ĥ ĵ ŝ ŭそれぞれ決まった音を持つ文字ĉielo – 「空、天」

体系の全体は1ページに収まります。文法の概観をご覧ください。

7編の一覧

#文章出典レベル
1最初の会話このページのために書き下ろし(2026年)初心者
2Ekzercaro の文ザメンホフ『エスペラントの基礎』(Fundamento de Esperanto、1905年)初心者
3現代の1日このページのために書き下ろし(2026年)初級
4主の祈り Patro niaザメンホフ『第一書』(Unua Libro、1887年)初級
5世界人権宣言 第1条1948年の国連の文書のエスペラント語訳中級
6おとぎ話 La feinoザメンホフ『エスペラントの基礎』(1905年)中級
7賛歌 La Esperoザメンホフ、1890年に初めて印刷上級(詩)

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1. 最初の会話

2人の学習者がオンラインで出会います。このページのために書き下ろしました。

— Saluton! Mi estas Ana. Kiel vi nomiĝas?
— Saluton, Ana! Mi nomiĝas Marko. Mi loĝas en Kanado.
— Ĉu vi jam longe lernas Esperanton?
— Ne, nur tri monatojn. Kaj vi?
— Mi lernas ĝin jam unu jaron, kaj mi tre ŝatas ĝin. Ĝis revido, Marko!

日本語訳: 「こんにちは! 私はアナです。お名前は?」「こんにちは、アナ! 私はマルコです。カナダに住んでいます。」「エスペラントを学んで、もう長いのですか?」「いいえ、3か月だけです。あなたは?」「私はもう1年学んでいて、とても気に入っています。さようなら、マルコ!」

カタカナの読み方の目安:
「サルートン! ミ エースタス アーナ。 キーエル ヴィ ノミージャス?」
「サルートン、アーナ! ミ ノミージャス マールコ。 ミ ロージャス エン カナード。」
「チュ ヴィ ヤム ローンゲ レールナス エスペラーントン?」
「ネ、ヌル トリ モナートイン。 カイ ヴィ?」
「ミ レールナス ジン ヤム ウーヌ ヤーロン、カイ ミ トレ シャータス ジン。 ジス レヴィード、マールコ!」

太字と「ー」は、強く読む音節の目印です。r と l はどちらもラ行で書くため、カタカナでは区別できません。r は舌先で軽くはじき、l は舌先を上の歯茎につけて出します(アルファベットと発音)。

ここに注目。 文頭の Ĉu は、平叙文を「はい・いいえ」の疑問文に変えます。Esperanton に -n がつくのは目的語だからで、tri monatojn「3か月」と unu jaron「1年」に -n がつくのは、期間を測る言い方だからです(対格)。日本語の「学んでいます」のように、続いている状態を表すときも、エスペラントは現在形の lernas だけで表します。

2. Ekzercaro(練習問題集)の文(1905年)

Ekzercaro は、『エスペラントの基礎』(Fundamento de Esperanto、1905年)の練習問題の部分です。『エスペラントの基礎』は、この言語の拘束力のある土台です。ここに挙げる5つの文は、その第20項から選んだもので、お話ではなく、それぞれ独立した例文です。

Hieraŭ mi renkontis vian filon, kaj li ĝentile salutis min. ― Hodiaŭ estas sabato, kaj morgaŭ estos dimanĉo. ― Se mi estus sana, mi estus feliĉa. ― Karaj infanoj, estu ĉiam honestaj! ― Ni estu gajaj, ni uzu bone la vivon, ĉar la vivo ne estas longa.

日本語訳: きのう、あなたの息子さんに会ったら、彼は私に丁寧にあいさつしました。― 今日は土曜日で、明日は日曜日になります。― もし私が健康なら、私は幸せでしょう。― 親愛なる子どもたち、いつも正直でありなさい! ― 陽気でいましょう。人生をよく使いましょう。人生は長くないのですから。

ここに注目。 5つの文には、5つの動詞の語尾があります。renkontis(過去 -is)、estas(現在 -as)、estos(未来 -os)、estus(仮定 -us)、estu(命令・願望 -u。命令と「〜しよう」に使います)。esti「〜である」さえ、この型に従います。エスペラントには不規則動詞がないからです(動詞)。Ĝentile「丁寧に」は、ĝentila「丁寧な」の副詞です。

3. 現代の1日

ふつうの仕事の日を描いた、このページのための書き下ろしです。

Ĉiun matenon mi veturas al la laborejo per biciklo. Survoje mi aŭskultas podkaston en Esperanto. En la oficejo mi respondas al retmesaĝoj kaj partoprenas en retaj kunsidoj kun kolegoj el tri landoj. Vespere mi kuiras kun mia edzino, kaj poste ni spektas filmon. Antaŭ ol enlitiĝi, mi lernas dek novajn vortojn per aplikaĵo en mia poŝtelefono.

日本語訳: 毎朝、私は自転車で職場に通っています。道すがら、エスペラント語のポッドキャストを聞きます。オフィスでは、メールに返信し、3つの国の同僚とオンライン会議に参加します。夜は妻と料理をして、そのあと映画を見ます。寝る前に、スマートフォンのアプリで新しい単語を10個覚えます。

ここに注目。 エスペラントは、古い語根を組み合わせて、現代のものに名前をつけます。ret·mesaĝ·o(「ネット+メッセージ」、つまりメール)、poŝ·telefon·o(「ポケット+電話」、つまり携帯電話)、labor·ej·o(「仕事の場所」、つまり職場)、en·lit·iĝ·i(「ベッドの中に入る」、つまり就寝する)です(語形成)。漢字熟語で新しい言葉を作る日本語に、似た発想です。Ĉiun matenon「毎朝」に -n がつくのは、いつ起こるかを表すからです。Per は「〜を使って」を意味します。per biciklo「自転車で」、per aplikaĵo「アプリで」。

4. Patro nia:主の祈り(1887年)

Patro nia は、ザメンホフの最初の教科書『第一書』(Unua Libro、1887年)の、最初の見本の文章です。原書では、まだこの言語を勉強していない読者が、巻末の単語表で各部分を調べられるように、すべての単語が、部分ごとにコンマで区切って印刷されていました。Patr,o ni,a のようにです。下は1887年のザメンホフの文面を、現在の綴りで示したものです。原書では hodiaŭ が hod'aŭ と印刷されています。

Patro nia, kiu estas en la ĉielo, sankta estu Via nomo, venu reĝeco Via, estu volo Via, kiel en la ĉielo, tiel ankaŭ sur la tero. Panon nian ĉiutagan donu al ni hodiaŭ kaj pardonu al ni ŝuldojn niajn kiel ni ankaŭ pardonas al niaj ŝuldantoj; ne konduku nin en tenton, sed liberigu nin de la malvera, ĉar Via estas la regado, la forto kaj la gloro eterne. Amen!

日本語訳(エスペラント語に忠実な訳): 天におられる私たちの父よ、あなたの御名が聖とされますように、あなたの国が来ますように、あなたの意志が、天におけるように地でも行われますように。私たちの日々の糧を今日お与えください。私たちに負い目のある人々をゆるすように、私たちの負い目もゆるしてください。私たちを誘惑に導かず、悪(直訳は「偽りのもの」)から解き放ってください。支配と力と栄光は、永遠にあなたのものだからです。アーメン。

日本の教会で使われる祈りの文言とは別の訳で、あくまでエスペラント語の文を直訳したものです。

ここに注目。 所有を表す語は、名詞のあとに置けます。Patro nia、volo Via です。語の位置ではなく語尾が文法を担うからです(語順)。Panon nian ĉiutagan では、3語すべてに -n がつきます。形容詞と所有詞は、名詞に一致するのです。Ŝuld·ant·oj「負い目のある人々」は、「借りのある者」を意味する分詞です。のちの版、たとえば国際カトリック・エスペラント連盟(IKUE)が使うものでは、malvera が malbono「悪」に置き換えられています。

5. 世界人権宣言 第1条

国連は1948年に世界人権宣言を採択しました。これは、そのエスペラント語版の第1条です。

Ĉiuj homoj estas denaske liberaj kaj egalaj laŭ digno kaj rajtoj. Ili posedas racion kaj konsciencon, kaj devus konduti unu al alia en spirito de frateco.

日本語訳: すべての人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利において平等です。人間は理性と良心を授けられており、たがいに兄弟愛の精神をもって行動すべきです。

外務省の仮訳(日本語の公式な訳文)は、「同胞の精神をもって行動しなければならない」という言い方をしています。

ここに注目。 エスペラント語は26語、英語は30語です。1語で句の働きをすることがあるからです。de·nask·e「生まれた時から」は、前置詞、語根、副詞の語尾をつないでいます。Frat·ec·o「兄弟愛」は、frato「兄弟」に、性質を表す接尾辞 -ec- をつけたものです。Devus は devi「〜しなければならない」の仮定形で、文字どおりには「〜しなければならないだろう」、ここでは「〜すべきだ」を意味します(仮定)。

6. おとぎ話 La feino(1905年)

La feino「妖精」は、Ekzercaro の最初の物語です(第11項)。英語で "Diamonds and Toads" として知られる昔話、つまりフランスのペローが書いた Les Fées として知られる話の、ザメンホフ版です。親切な娘が、口からバラや真珠やダイヤモンドを落とすというお話です。これはその冒頭です。

Unu vidvino havis du filinojn. La pli maljuna estis tiel simila al la patrino per sia karaktero kaj vizaĝo, ke ĉiu, kiu ŝin vidis, povis pensi, ke li vidas la patrinon; ili ambaŭ estis tiel malagrablaj kaj tiel fieraj, ke oni ne povis vivi kun ili. La pli juna filino, kiu estis la plena portreto de sia patro laŭ sia boneco kaj honesteco, estis krom tio unu el la plej belaj knabinoj, kiujn oni povis trovi.

日本語訳: ある未亡人に、2人の娘がいました。姉のほうは、性格も顔もあまりに母親に似ていたので、彼女を見た人は誰でも、母親を見ているのだと思いかねないほどでした。2人とも、あまりに無愛想で高慢だったので、いっしょに暮らせる人はいませんでした。妹のほうは、やさしさと誠実さにおいて父親にそっくりで、そのうえ、見つけられるなかで最も美しい娘の1人でした。

ここに注目。 長い文は、ke「〜ということ」と関係詞でまとめられています。ĉiu, kiu「〜する人は誰でも」と kiujn「〜するところの人々を」で、kiujn には複数の -j と目的語の -n がつきます(相関詞)。La pli maljuna「姉(年上のほう)」と la plej belaj「最も美しい」は、pli と plej による比較です。povis pensi, ke li vidas では、2つめの動詞が現在形のままです。日本語の「見ているのだと思う」と同じように、エスペラントは元の考えの時制を保ちます。英語は "was seeing" に変わります。

7. エスペラントの賛歌 La Espero

La Espero「希望」は、ザメンホフの詩で、1890年にロシア語話者向けの教科書に、題名なしで初めて印刷されました。1909年に Félicien Menu de Ménil が作曲した行進曲に合わせて歌われ、エスペラントの非公式な賛歌になっています(旗と象徴)。これは、その最初の8行です。

En la mondon venis nova sento,
tra la mondo iras forta voko;
per flugiloj de facila vento
nun de loko flugu ĝi al loko.
Ne al glavo sangon soifanta
ĝi la homan tiras familion:
al la mond’ eterne militanta
ĝi promesas sanktan harmonion.

日本語訳: 世界に新しい思いが生まれ、/世界を力強い呼び声が渡っていく。/軽やかな風の翼に乗って、/今、場所から場所へ飛んでいけ。/血に飢えた剣のもとへ、/それは人類という家族を引き寄せるのではない。/永遠に争い続ける世界に、/それは聖なる調和を約束する。

ここに注目。 En la mondon に -n がつくのは、世界の中へ入る動きを表すからで、tra la mondo「世界を通って」には要りません(方向)。詩は、ふつうの語順を崩します。glavo sangon soifanta では、目的語の sangon が分詞 soifanta「渇いている」の前に来ており、ĝi la homan tiras familion では形容詞と名詞が離れています。Mond’ は、韻律に合わせて語尾の -o を落としています。『エスペラントの基礎』の第16条が認めていることです。のちに詩は、話し手を la esperantoj、つまり「望む人々」と呼びます。この語が、ザメンホフの筆名 Doktoro Esperanto のもとになり、のちに言語の名前になりました。

ほかのエスペラント語の文章はどこで読める?

  • 『エスペラントの基礎』。 エスペラント・アカデミーが全文を無料でオンライン公開しています。Ekzercaro の42項すべてを含みます。
  • Vikifontaro(エスペラント語版 Wikisource)は、パブリックドメインの文章を集めています。La Espero も含みます。
  • プロジェクト・グーテンベルクには、無料のエスペラント語の本があります。ザメンホフの選集『Fundamenta Krestomatio』(1903年)もあります。
  • Vikipedio(エスペラント語版 Wikipedia)では、あらゆる話題で読む練習ができます。
  • 日本語で読めるもの。 日本エスペラント協会のサイトに、エスペラントと日本語の対訳つきのあいさつのページがあります。
  • 当サイトの講座。 12課の講座は、対話を軸に組み立てています。無料で学べる教材に、段階別の読み物とポッドキャストを載せています。

よくある質問

エスペラント語はどんなふうに見える?

エスペラントは、ラテン文字と、記号つきの6文字(ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ, ŭ)で書かれ、発音どおりに綴ります。語根の多くはヨーロッパの言語の話者に見覚えがあり、規則的な語尾が品詞を示します。名詞は -o、形容詞は -a、現在形の動詞は -as です。

エスペラント語で最初に出版された文章は?

主の祈り Patro nia です。1887年のザメンホフの『第一書』の最初の見本の文章でした(上の4番目)。同じ本には、創世記の詩句、手紙の見本、3つの詩も入っていました。

学ばなくてもエスペラント語はわかる?

部分的には、わかります。ヨーロッパの言語を読む人は、familio、portreto、harmonio のような語根の多くがわかりますが、語尾、相関詞、ĉu や ke のような小さな語には、少し学習が必要です。日本語話者は、見覚えのある語根が少なめですが、英語由来のカタカナ語が手がかりになります。辞書を引けば、語のすべての部分の意味がわかります。

これらの文章は自由に使える?

ザメンホフの文章はパブリックドメインです。彼は1917年に亡くなりました。このページのために書いた文章は、サイトのほかの部分と同じ、CC BY-SA 4.0 ライセンスで公開しています。

これらの文章はどう声に出して読む?

1文字がひとつの音を表し、アクセントは必ず後ろから2番目の音節に置かれます。Es·pe·RAN·to、fa·mi·LI·o。アルファベットと発音をご覧ください。

出典

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