Saluton講座
エスペラント語 第1課|あいさつ・自己紹介・発音の規則
発音の5規則、7つの代名詞、1つの動詞の形。これだけで、あいさつと自己紹介ができます。
この第1課では、エスペラントを声に出して読み、あいさつと自己紹介をする方法を学びます。人称代名詞 mi, vi, li, ŝi と、動詞 estas(「です」「いる」「ある」にあたる語)が登場します。estas は、主語が誰でも同じ形です。エスペラントを一度も聞いたことがない人は、先に「文法」の発音の5規則を読んでから、会話に戻ってください。
会話
アナはブラジルのサンパウロに、トモはポーランドのクラクフに住んでいます。2人とも、ケニア出身のジュマが運営するオンラインのエスペラント会話グループに、参加したばかりです。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| Juma: Saluton al ĉiuj! Mi estas Juma. Mi estas el Kenjo. | みなさん、こんにちは!私はジュマです。ケニアの出身です。 |
| Ana: Saluton, Juma! Mi estas Ana. Mi estas el Brazilo. | こんにちは、ジュマ!私はアナです。ブラジルの出身です。 |
| Tomo: Bonan tagon! Mi estas Tomo. Mi estas el Pollando. | こんにちは!僕はトモです。ポーランドの出身です。 |
| Juma: Bonvenon, Ana kaj Tomo! Kiel vi fartas? | ようこそ、アナ、トモ!お元気ですか? |
| Ana: Bone, dankon. Kaj vi? | 元気です、ありがとう。あなたは? |
| Juma: Tre bone, dankon! | とても元気です、ありがとう! |
| Tomo: Mi fartas bone, sed mi estas iom nervoza. Mi estas komencanto. | 元気ですが、少し緊張しています。僕は初心者なので。 |
| Ana: Ankaŭ mi estas komencanto! | 私も初心者です! |
| Juma: Ne gravas. Ĉi tie ni ĉiuj estas amikoj. | 気にしないで。ここではみんな友達です。 |
| Tomo: Dankon, Juma. Saluton, Ana! | ありがとう、ジュマ。こんにちは、アナ! |
| Ana: Saluton, Tomo! Ĝis lundo? | こんにちは、トモ!月曜日にまた会いましょうか? |
| Juma: Jes, ĝis lundo! Ĝis revido, amikoj! | ええ、月曜日にまた!さようなら、みなさん! |
| Tomo: Ĝis revido! | さようなら! |
各行を2回ずつ声に出して読みましょう。アクセントは後ろから2番目の音節です。sa-LU-ton(サルートン)、bon-VE-non(ボンヴェーノン)、ko-men-CAN-to(コメンツァーント)。
名前は、もとのつづりと発音をそのまま保つことがよくあります。Juma はスワヒリ語の名前で、「ジューマ」と読みます。エスペラントの文字 j は「ヤ行」の子音ですが、名前はもとの発音のままです。
新出単語
カタカナは近似です。「ー」は強く読む音節の目印で、母音を長く伸ばす必要はありません。全文字のカタカナ読みは、辞書のページの早見表にもあります。
| エスペラント語 | 日本語 | 備考 |
|---|---|---|
| saluton(サルートン) | こんにちは | いつでも使えるあいさつ |
| bonan tagon(ボーナン ターゴン) | こんにちは | saluton より少し改まった言い方 |
| bonvenon(ボンヴェーノン) | ようこそ | |
| ĝis revido(ジス レヴィード) | さようなら | 直訳は「また会うときまで」。短く ĝis! とも言う |
| mi(ミ) | 私 | 代名詞 |
| vi(ヴィ) | あなた、あなたたち | 1人にも大勢にも使う |
| li(リ) | 彼 | 代名詞 |
| ŝi(シ) | 彼女 | 代名詞 |
| ni(ニ) | 私たち | 代名詞 |
| estas(エースタス) | です、いる、ある | esti「〜である」の現在形 |
| farti(ファールティ) | 体の具合が〜である | Kiel vi fartas?「お元気ですか?」 |
| el(エル) | 〜から、〜の出身の | el Brazilo「ブラジルの出身」 |
| al(アル) | 〜へ、〜に | Saluton al ĉiuj!「みなさん、こんにちは!」 |
| ĉiuj(チーウイ) | みんな、全員 | ni ĉiuj「私たちみんな」 |
| nervoza(ネルヴォーザ) | 緊張した | |
| kaj(カイ) | と、そして | 「カ」と「イ」を分けず、ひと続きで |
| sed(セド) | しかし | |
| kiel(キーエル) | どのように | 疑問詞(第7課) |
| bone(ボーネ) | よく、元気に | 副詞 |
| tre(トレ) | とても | |
| iom(イーオム) | 少し | |
| dankon(ダーンコン) | ありがとう | |
| ankaŭ(アーンカウ) | 〜も | ankaŭ mi「私も」 |
| jes(イェス) | はい | |
| komencanto(コメンツァーント) | 初心者 | komenci「始める」から |
| amiko(アミーコ) | 友達 | 複数形は amikoj(第2課) |
| ĉi tie(チ ティーエ) | ここ | |
| ne gravas(ネ グラーヴァス) | 気にしない、問題ない | 直訳は「重要ではない」 |
文法
発音の5規則
エスペラントのつづりは発音どおりです。次の5つの規則を覚えれば、どんな単語も声に出して読めます。全文字の表はアルファベットと発音のページにあります。
- 1文字が1つの音。 どの文字も発音し、読まない文字はありません。
- 母音は5つ。 a, e, i, o, u は、日本語の「ア・エ・イ・オ・ウ」とほぼ同じ音です。英語のように、母音がふたつの音に崩れることはありません。
- 日本語と違う文字がいくつかある。 下の表で確認しましょう。
- 後ろから2番目の母音を強く読む。 SA-lu-ton は誤りで、sa-LU-ton と読みます。どの単語も同じ規則です。BO-ne, es-pe-RAN-to, KI-el。
- aj, ej, oj, uj, aŭ, eŭ は、それぞれ1音節。 kaj は「カイ」をひと続きで言い、ankaŭ は AN-kaŭ と読みます。
| 文字 | 発音の目安 | 例 |
|---|---|---|
| c | 「ツ」の子音(英語の cats の ts) | komencanto – 「初心者」 |
| ĉ | 「チャ・チュ・チョ」の子音 | ĉi tie – 「ここ」 |
| g | 「ガ行」。ge も「ゲ」で、英語のように「ジェ」にならない | gravas – 「重要である」 |
| ĝ | 語頭の「ジャ・ジュ・ジョ」の子音(英語の jam の j) | ĝis – 「〜まで」 |
| ĥ | のどの奥でこする「ハ」(ドイツ語の Bach の ch) | ĥoro – 「合唱団」(まれな文字) |
| j | 「ヤ行」の子音 | jes – 「はい」 |
| ĵ | フランス語の j(英語の pleasure の s) | ĵurnalo – 「新聞」 |
| r | 日本語のラ行に近い、舌先で軽くはじく音(巻き舌でもよい) | revido – 「再会」 |
| s | 「サ行」の子音。z のように濁らない | estas – 「です」 |
| ŝ | 「シャ・シュ・ショ」の子音 | ŝi – 「彼女」 |
| ŭ | 「ア」「エ」のあとに添える短い「ウ」 | ankaŭ – 「〜も」 |
日本語話者の発音ポイント
母音が日本語とほぼ同じなので、エスペラントの発音は日本語話者にとって難しくありません。次の5点だけ意識しましょう。
- 子音のあとに余計な母音を入れない。 saluton は「サルートノ」ではなく「サルートン」です。strato(通り)の str- は、「ス・ト・ラ」と3拍に分けず、s-t-r と子音を素早く続けます。
- r と l を区別する。 r は舌先で軽くはじく音、l は舌先を上の歯茎にしっかりつける音です。revi(夢を見る)と levi(持ち上げる)のように、これだけで意味が変わる単語があります。
- si, ti, di は「スィ・ティ・ディ」。 「シ・チ・ジ」にはなりません。sidi(座る)は「スィーディ」です。
- v は「ヴ」。 上の歯を下唇に軽く当てて出す音で、「ブ」とは別の音です。
- アクセントは高低ではなく強弱。 日本語は音の高さで区別しますが、エスペラントは強さで区別します。後ろから2番目の音節を、高さを変えずに強く、はっきり言いましょう。
人称代名詞
エスペラントの基本的な人称代名詞は7つです(oni「人は、人々は」は第10課で出てきます)。丁寧さによって形が変わることはありません。vi は、友達にも初対面の相手にも、大勢にも使えます。全体は代名詞の章を参照してください。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| mi | 私 |
| vi | あなた(1人でも複数でも) |
| li | 彼 |
| ŝi | 彼女 |
| ĝi | それ |
| ni | 私たち |
| ili | 彼ら |
日本語と比べると:敬語がなく、主語を省かない
日本語には「私・僕・俺」「あなた・きみ・お前」のように、相手との関係で使い分ける言葉や、敬語があります。エスペラントにはありません。mi と vi だけで、先生にも友達にも話せます。「です・ます」とくだけた言い方の区別もありません。
逆に、日本語は主語を省くのが自然ですが、エスペラントでは省きません。estas は誰が主語でも同じ形なので、mi や vi を言わないと、誰のことかわからないからです。
| 日本語 | エスペラント語 |
|---|---|
| アナです。 | Mi estas Ana. |
| ブラジルの出身です。 | Mi estas el Brazilo. |
| 初心者です。 | Mi estas komencanto. |
動詞の形はひとつ:estas
「〜である」にあたる動詞は esti です。現在形は、主語が誰でも estas になります。英語の am, is, are のような使い分けはありません。これはエスペラントのすべての動詞に当てはまります(第4課と動詞の章で学びます)。
estas は、日本語の「です・だ」にあたる使い方(Mi estas Ana「私はアナです」)も、「いる・ある」にあたる使い方(Estas tri katoj「猫が3匹います」)も担います。「いる」と「ある」の区別はありません。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| Mi estas Ana. | 「私はアナです。」 |
| Vi estas komencanto. | 「あなたは初心者です。」 |
| Li estas el Pollando. | 「彼はポーランドの出身です。」 |
| Ŝi estas el Brazilo. | 「彼女はブラジルの出身です。」 |
| Ni estas amikoj. | 「私たちは友達です。」 |
| Ili estas el Kenjo. | 「彼らはケニアの出身です。」 |
「ひとつの」にあたる不定冠詞はありません。Mi estas komencanto は「私は初心者です」の意味です。冠詞は定冠詞の la だけで、第2課で学びます。日本語にも冠詞はないので、この点は日本語話者に楽です。
あいさつ
| エスペラント語 | 日本語 | いつ使う |
|---|---|---|
| Saluton! | こんにちは!やあ! | いつでも |
| Bonan matenon! | おはようございます! | 朝 |
| Bonan tagon! | こんにちは! | 昼間、少し改まった言い方 |
| Bonan vesperon! | こんばんは! | 夕方から夜 |
| Bonan nokton! | おやすみなさい! | 寝る前 |
| Ĝis revido! / Ĝis! | さようなら! / じゃあね! | 別れるとき |
| Ĝis lundo! | 月曜日にまた! | ĝis +時を表す語 |
saluton や bonan tagon の語尾 -n は、飾りではありません。どちらも文全体を縮めた形で、bonan tagon は「あなたによい一日を願います」、saluton は「あなたにあいさつを送ります」にあたります。-n は目的語の印です。この語尾は第5課で学びます。短い文が決まり文句になった点は、日本語の「さようなら」(もとは「さようならば」)と似ています。ほかのあいさつは、エスペラントのあいさつにあります。
お礼は、相手が誰でも Dankon!(ダーンコン)です。「ありがとう」と「ありがとうございます」を使い分ける必要はありません。
練習問題
文化コラム
エスペラントには誕生日があります。1887年7月26日です。この日、眼科医のルドヴィク・ザメンホフが、ワルシャワで言語の最初の教科書を出版しました。ロシア語で書かれ、Doktoro Esperanto(「希望する人」博士)という筆名で出されたため、やがて言語そのものが「エスペラント」と呼ばれるようになりました。続きはエスペラントの歴史をご覧ください。
日本では、1906年(明治39年)にエスペラントの団体が発足し、小説家の二葉亭四迷が学習書『世界語』を出版して、本格的な普及が始まりました。この本の題名のとおり、明治期のエスペラントは「世界語」とも呼ばれていました。
よくある質問
ĉ、ĝ、ŝ は普通のキーボードで入力できますか?
はい。いちばん手軽なのはX方式です。cx で ĉ、gx で ĝ、sx で ŝ、ux で ŭ になります。この講座の練習問題は、入力と同時に自動で変換します。パソコンやスマートフォンで直接入力する方法も、同じページで説明しています。
vi は丁寧な言い方ですか、くだけた言い方ですか?
どちらでもあります。vi は、1人にも大勢にも、友達にも初対面の人にも使います。親しい相手に使う単数専用の ci も、文法上は存在しますが、ほとんど使われません。日本語のような敬語の使い分けは要りません。
「私の名前は〜です」は、エスペラントでどう言いますか?
いちばん簡単なのは Mi estas Ana(「私はアナです」)です。Mi nomiĝas Ana(「私はアナと呼ばれています」)や Mia nomo estas Ana(「私の名前はアナです」)もよく聞きます。
自分の名前は、エスペラントでどう書きますか?
多くの人は、自分の名前をそのままラテン文字で書きます。Mi estas Keiko. のようにローマ字で書けば、そのまま通じます。伝統的なエスペラント語形がある名前は、名前のエスペラント語形で調べられます。
出典
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