Saluton講座
エスペラント語 第11課|丁寧な頼み方・命令形 -u・仮定形 -us
2つの語尾で、どのカフェでも丁寧に頼めます。そして45語の表で、文法の道具がそろいます。
この第11課では、丁寧にものを頼む方法を学びます。語尾 -u は、命令や願望を表します。Venu!「来なさい!」、Ni iru!「行きましょう!」。bonvolu +不定詞は、「どうぞ〜してください」の意味です。語尾 -us は仮定を表します。Mi ŝatus kafon「コーヒーをいただきたいのですが」、Se mi povus, mi restus「できるなら、残るのですが」。最後に、ki-, ti-, i-, ĉi-, neni- で作る45語、相関詞の表の全体を見ます。日本語の「こそあど」と同じ仕組みです。
会話
大会の最後の夜。アナ、トモ、ケイコが、小さなレストランで夕食をとっています。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| Kelnero: Bonan vesperon! Bonvolu sidiĝi. Kion vi deziras? | こんばんは!どうぞお座りください。ご注文は何になさいますか? |
| Ana: Bonvolu doni al ni la menuon. | メニューをいただけますか。 |
| Kelnero: Jen ĝi. | こちらです。 |
| Tomo: Mi ŝatus la legoman supon, mi petas. | 野菜スープをいただきたいです。お願いします。 |
| Keiko: Kaj por mi la fiŝon kun rizo. | 私は、魚料理をごはん添えでお願いします。 |
| Ana: Ĉu vi povus rekomendi ion bongustan? | おいしいものを、何かおすすめしていただけますか? |
| Kelnero: Provu la lokan specialaĵon! Ĝi estas tre bongusta. | 地元の名物をお試しください!とてもおいしいですよ。 |
| Ana: Bone, mi prenos ĝin. Kaj kafon, mi petas! | では、それをいただきます。それと、コーヒーをお願いします! |
| Tomo: Kompreneble. Ana sen kafo ne estus Ana! | もちろん。コーヒーのないアナは、アナじゃありませんからね! |
| Ana: Ha ha. Morgaŭ ni ĉiuj iros hejmen… Se mi povus, mi restus ĉi tie ankoraŭ unu semajnon. | あはは。あした、みんな家に帰るんですね……できるなら、ここにあと1週間いたいです。 |
| Keiko: Ankaŭ mi. Sed ni revidiĝos, ĉu ne? | 私も。でも、また会えますよね? |
| Tomo: Certe! Ni faru planon: venontjare ni ĉiuj venu al la sekva kongreso! | もちろん!計画を立てましょう。来年は、みんなで次の大会に来ましょう! |
| Ana: Jes! Kaj ĉiu, kiu ne venos, pagos la vespermanĝon! | そうしましょう!来ない人は、夕食代を払うこと! |
| Keiko: Interkonsentite! | 決まりですね! |
| Tomo: Sinjoro, bonvolu alporti la kalkulon… Ne, atendu – unue la deserton! | すみません、お会計をお願いします……いえ、待ってください——先にデザートを! |
新出単語
| エスペラント語 | 日本語 | 備考 |
|---|---|---|
| bonvolu(ボンヴォール) | どうぞ〜してください | 不定詞を続ける:bonvolu sidiĝi |
| mi petas(ミ ペータス) | お願いします | 依頼の最後に添える |
| sidiĝi(スィディージ) | 座る、腰を下ろす | sidi「座っている」 |
| deziri(デズィーリ) | 望む、願う | Kion vi deziras?「何になさいますか?」 |
| doni(ドーニ) | 与える、くれる | doni al ni「私たちにくれる」 |
| rekomendi(レコメーンディ) | 勧める | |
| provi(プローヴィ) | 試す | |
| resti(レースティ) | とどまる、残る | |
| alporti(アルポールティ) | 持ってくる | al+porti「運ぶ」 |
| atendi(アテーンディ) | 待つ | |
| revidiĝi(レヴィディージ) | 再会する | ĝis revido |
| kelnero(ケルネーロ) | ウェイター | |
| menuo(メヌーオ) | メニュー | |
| legomo(レゴーモ) | 野菜 | legoma supo「野菜スープ」 |
| fiŝo(フィーショ) | 魚 | |
| specialaĵo(スペツィアラージョ) | 名物、特別料理 | |
| kalkulo(カルクーロ) | 会計、勘定 | 「計算」の意味もある |
| deserto(デセールト) | デザート | |
| plano(プラーノ) | 計画 | |
| loka(ローカ) | 地元の | loko「場所」から |
| sekva(セークヴァ) | 次の | |
| venontjare(ヴェノントヤーレ) | 来年に | |
| certe(ツェールテ) | 確かに、もちろん | |
| interkonsentite!(インテルコンセンティーテ) | 決まりですね! | 「合意しました」の意味 |
| io(イーオ) | 何か | ion bongustan「おいしい何か」 |
| helpi(ヘールピ) | 手伝う、助ける | Ĉu vi povus helpi min?「手伝っていただけませんか?」 |
文法
命令・願望の -u
語尾 -u は、命令、依頼、願望を表します。vi を省くと、直接の命令になります。Venu!「来なさい!」、Atendu!「待って!」。ni といっしょなら「〜しましょう」の意味です。Ni iru!「行きましょう!」。li, ŝi, ili といっしょなら、「彼(彼女、彼ら)に〜してほしい」の意味になります。6つの動詞の語尾は、動詞のページにまとめてあります。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| Provu la specialaĵon! | 名物を試してみてください! |
| Ni faru planon! | 計画を立てましょう! |
| Li venu morgaŭ. | 彼にはあした来てもらいましょう。 |
| Ne timu! | 恐れないで! |
-u の形は、望む・頼む動詞のあとの ke の節にも使います。Mi volas, ke vi venu は「あなたに来てほしい」の意味です。
丁寧な頼み方
命令形だけでは、ぶっきらぼうに聞こえることがあります。やわらげる簡単な方法が3つあります。
| 方法 | 例 | 日本語 |
|---|---|---|
| bonvolu +不定詞 | Bonvolu sidiĝi. | どうぞお座りください。 |
| 命令形+mi petas | Donu al mi akvon, mi petas. | 水をください、お願いします。 |
| Ĉu vi povus…? | Ĉu vi povus helpi min? | 手伝っていただけませんか? |
Bonvolu は、bonvoli(「親切にも〜する」)の -u 形で、bona「よい」+voli「望む」からできています。Dankon! への返事は、Ne dankinde!「どういたしまして!」です。ほかの日常表現は、基本のフレーズにあります。
仮定の -us
語尾 -us は、想像上の、あるいは現実ではないことを表します。英語の would にあたります。望みを丁寧に言う方法でもあります。Mi ŝatus は「〜したいのですが」。「もし〜なら」の文が想像上のことを述べるときは、両方の動詞に -us がつきます。現実にありうることには、ふつうの時制を使います。Se pluvos, mi restos hejme(「雨が降ったら、家にいます」)。
| エスペラント語 | 日本語 |
|---|---|
| Mi ŝatus kafon. | 「コーヒーをいただきたいのですが。」 |
| Ana sen kafo ne estus Ana. | 「コーヒーのないアナは、アナではないでしょう。」 |
| Se mi povus, mi restus. | 「できるなら、残るのですが。」 |
| Se mi havus tempon, mi lernus la japanan. | 「時間があれば、日本語を学ぶのですが。」 |
6つの動詞の語尾
これで、エスペラントのすべての動詞の語尾がそろいました。どの語尾も、どの動詞にも、どの人称にも、同じように使えます。
| 語尾 | 名称 | esti | paroli |
|---|---|---|---|
| -i | 不定詞 | esti – 〜である | paroli – 話す |
| -as | 現在 | estas – 〜である | parolas – 話す |
| -is | 過去 | estis – 〜だった | parolis – 話した |
| -os | 未来 | estos – 〜だろう | parolos – 話すだろう |
| -us | 仮定(条件) | estus – 〜だろう(仮定) | parolus – 話すだろう(仮定) |
| -u | 命令・願望 | estu – 〜であれ | parolu – 話しなさい |
日本語と比べると:丁寧さと「〜のですが」
日本語には、「来て」「来てください」「お越しください」「お越しいただけますか」のように、段階のある敬語があります。エスペラントには敬語の体系がなく、丁寧さは、上の3つの方法で調整します。この課の会話の日本語訳に「お座りください」のような敬語が出てくるのは、日本語として自然に訳したためで、エスペラントの原文は同じ言葉づかいです。
| 丁寧さ | 日本語 | エスペラント語 |
|---|---|---|
| くだけた | 水をちょうだい。 | Donu al mi akvon. |
| 丁寧 | 水をください。 | Bonvolu doni al mi akvon. |
| とても丁寧 | 水をいただけますか? | Ĉu vi povus doni al mi akvon? |
-us は、日本語の「〜のですが」「〜たいのですが」に近い使い方ができます。Mi ŝatus kafon は「コーヒーがほしい」と断定せず、やわらかく頼む言い方です。「もし〜なら」は、日本語の「〜ば」「〜たら」にあたります。Se mi havus tempon, mi lernus… は「時間があれば、学ぶのですが」です。
「〜しましょう」「〜しましょうか」という日本語の勧誘は、ni + -u で言えます。Ni manĝu! は「食べましょう!」、Ĉu ni iru? は「行きましょうか?」です。
相関詞の表
第7課では、ki- で始まる7つの疑問詞を学びました。これらは、45語からなる表の一部です。各語は、語頭(行)と語尾(列)の組み合わせなので、表から、どの語も自分で導けます。1語ずつの説明と例は、相関詞のページにあります。
ki- + -u = kiu
| -u 人・個体 | -o もの | -a 種類 | -es 所有者 | -e 場所 | -am 時 | -al 理由 | -el 様子 | -om 量 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ki- 疑問 | kiu | kio | kia | kies | kie | kiam | kial | kiel | kiom |
| ti- 指示 | tiu | tio | tia | ties | tie | tiam | tial | tiel | tiom |
| i- 不定 | iu | io | ia | ies | ie | iam | ial | iel | iom |
| ĉi- 全体 | ĉiu | ĉio | ĉia | ĉies | ĉie | ĉiam | ĉial | ĉiel | ĉiom |
| neni- 否定 | neniu | nenio | nenia | nenies | nenie | neniam | nenial | neniel | neniom |
-e の列を縦に読んでみましょう。kie「どこ」、tie「そこ」、ie「どこか」、ĉie「どこでも」、nenie「どこにも(…ない)」。-u と -a で終わる語は、形容詞のように -j と -n をとります。ĉiuj(みんな)、kiujn(どれを。目的語)。-o で終わる語は -n だけをとります。ion bongustan(おいしい何か)。
ti- で始まる語の前か後ろに ĉi をつけると、近くのものを指します。tiu(「その、あの」)、ĉi tiu(「この」)。tie(「そこ」)、ĉi tie(「ここ」)。この ĉi を、ĉi- の行(「全部」)と混同しないでください。ĉiu は「どの〜も、みんな」の意味です。
日本語の「こそあど」と比べると
この表の仕組みは、日本語の「こそあど言葉」とそっくりです。ki- が「ど」(疑問)にあたり、ti- が「こ・そ・あ」(指示)にあたります。
| 種類 | こ | そ | あ | ど | エスペラント語(指示/疑問) |
|---|---|---|---|---|---|
| もの(-o) | これ | それ | あれ | どれ、なに | tio / kio |
| 人・個体(-u) | この | その | あの | どの、だれ | tiu / kiu |
| 場所(-e) | ここ | そこ | あそこ | どこ | tie / kie |
| 種類(-a) | こんな | そんな | あんな | どんな | tia / kia |
| 様子(-el) | こう | そう | ああ | どう | tiel / kiel |
違いは2つあります。ti- は、近い・遠いを区別しません。近いことをはっきり言いたいときだけ、ĉi を足します(ĉi tie =ここ)。そして i- は日本語の「〜か」(何か、どこか)、ĉi- は「全部」(何でも、いつも)、neni- は「〜も…ない」(何も、どこにも)にあたります。ただし、neni- の語は、それだけで否定の意味をもつので、ne は不要です。Neniu venis で「だれも来なかった」です。詳しくは、相関詞のページにあります。
練習問題
文化コラム
エスペラントの催しには、暗黙のマナーがひとつあります。krokodili(「ワニする」)をしないことです。ほかの人がエスペラントで会話に加われるのに、母語に切り替えてしまうことを指します。この語の由来は、誰にもはっきりわかりません。Vikipedio は複数の説を挙げており、アンドレオ・チェー(Andreo Cseh)の語学講座で使われた木製のワニの説もあります。正しい用法についての質問には、エスペラント・アカデミーが相談窓口 Lingva Konsultejo を運営しています。詳しくはエスペラントの団体をご覧ください。
よくある質問
bonvolu と mi petas の違いは何ですか?
どちらも「お願いします」の意味です。Bonvolu は前に置き、不定詞を続けます。Bonvolu atendi(どうぞお待ちください)。Mi petas は、依頼や命令形に添えます。Atendu, mi petas(待ってください、お願いします)。
「〜しましょう」は、エスペラントでどう言いますか?
ni と -u の語尾を使います。Ni iru! は「行きましょう!」、Ni manĝu! は「食べましょう!」です。同じ形で、提案を求めることもできます。Kion ni faru?「何をしましょうか?」
45の相関詞を、今すぐ全部覚える必要がありますか?
いいえ。まず ki- の行と、よく使う語から始めましょう。tio, ĉio, nenio, ĉiu, neniu, tie, ĉiam, neniam, iom。仕組みがわかれば、出会ったときに、ほかの語も導けます。日本語話者は「こそあど」の仕組みをすでに知っているので、表の考え方はつかみやすいはずです。
出典
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